過体重・肥満男女に対するプレコンセプション体重管理は効果的?(ナラティブレビュー)
減量すると、どの程度、妊娠に対してポジティブに働くかは実はわかっていません。過去のブログでも触れましたが、2022年のナラティブレビューをご紹介いたします。
Wendy S Vitek, et al. Fertil Steril. 2022 Sep;118(3):447-455. doi: 10.1016/j.fertnstert.2022.07.001.
女性の肥満と無排卵、妊娠までの期間延長、経口排卵誘発剤およびゴナドトロピン注射の反応不良、体外成績の低下、流産率の増加、周産期合併症の増加と関連しています。男性の肥満はセルトリ細胞の機能低下や精液所見異常を伴う二次性腺機能低下症と関連しています。
食事療法、運動療法、薬物療法による短期間の減量(4~6ヶ月間に2~9kgの減量もしくは、6%前後の減量)は、排卵誘発、人工授精、体外受精の1周期あたりの妊娠率や生児数を改善しませんが、自然妊娠は増加させる可能性があります。男性でもホルモンバランスを改善する可能性がありますが、妊娠率や生児数の改善を示す明確なデータはありません。食事療法、運動療法、薬物療法による短期間の減量はリバウンドも多いため、個別に減量と不妊治療の方針を練っていく必要があります。
外科的介入(腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術(laparoscopic RYGB; LRYGB) と腹腔鏡下スリーブ術(laparoscopic sleeve gastrectomy; LSG)が一般的)による体重減少は、食事療法、運動療法、薬物療法に比べて長期的に体重減少に寄与します。急速な体重減少期間中は胎児を栄養不足にさらすことを避けるために、現在、肥満手術後12~18ヵ月間は妊娠を遅らせることが推奨されています。PCOS女性において自然妊娠を増加させ、体外受精による生児出生率を増加させる可能性が高いですが、データが限られています。男性においてはホルモンバランス、精液所見の改善を認める報告はあるものの限られた報告しかありません。
難治性肥満の女性には外科的手術も選択肢となりますが、避妊期間などとの兼ね合いから高齢女性では待機期間を含めると外科的介入提案の判断が難しいことが多いようです。
〜関連ブログ〜
肥満・BMI
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◇肥満への管理・介入
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◇肥満の影響
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文責:川井清考(院長)
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