薬剤難治性慢性子宮内膜炎には子宮内膜掻爬術が有効(Reprod Med Biol. 2023)

慢性子宮内膜炎は、着床不全原因として認知されています。
2023年現在、保険診療内で検査・治療が行えないことで実施されることが少なくなりましたが、難治性不妊の女性には検査・治療提案をするようにしています。慢性子宮内膜炎治療の初回治療選択は抗生剤治療ですが、抗生剤無効の場合の対処法を示した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

薬剤難治性の慢性子宮内膜炎には子宮内膜掻爬術が有効そうです。

≪論文紹介≫

Keiji Kuroda, et al.  Reprod Med Biol. 2023 Jul 4;22(1):e12525.  doi: 10.1002/rmb2.12525. 

不妊女性における抗生物質難治性慢性子宮内膜炎に対する子宮内膜掻爬術の有効性を明らかにすることを目的としたレトロスペクティブコホート研究です。
慢性子宮内膜炎女性1,580名のうち、2~5サイクルの抗生物質治療後に抗生物質難治性慢性子宮内膜炎女性87名を2019年から2021年に調査しました。対象女性に子宮内膜掻爬術を実施し、その後の治癒判定として抗生物質を使用せずにCD138免疫染色を行いました。生殖医療結果との関連について、子宮内膜掻爬術を希望しなかった女性と、子宮内膜掻爬術後に慢性子宮内膜炎が治癒した女性、継続した女性について分析しました。
結果:
子宮内膜掻爬術を実施した64名の女性において、CD138陽性細胞数は28.0±35.3個から7.7±14.0個に減少し(p < 0.0001)、41人(64.1%)の慢性子宮内膜炎が治癒しました(CD138陽性細胞<5個)。病理所見では子宮内膜増殖症3.1%、子宮内膜癌1.6%同定されました。42歳以下の女性において、子宮内膜掻爬術を希望しなかった女性は、子宮内膜掻爬術後に慢性子宮内膜炎が治癒した女性、継続した女性に比べて妊娠継続率が有意に低くなりました(それぞれ26.7%、67.6%、57.1%、p = 0.03)。

≪私見≫

慢性子宮内膜炎は2023年現在、不妊治療の検査として保険診療内で行うことができません。ただし、この報告にあるように子宮内膜に違和感がある場合、一定頻度で若年生殖年齢女性でも子宮内膜増殖症、子宮内膜癌が見つかってくることがありますので、子宮内膜掻爬術は必要であると考えています。

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文責:川井清考(院長)

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