慢性子宮内膜炎と粘膜下筋腫(論文紹介)

慢性子宮内膜炎は細菌など感染によって炎症細胞が誘導される症例が多くあり、抗生剤治療が多く行われている。ただし、炎症細胞を誘導されるのは感染だけではないため、盲目的に抗生剤投与することを疑問視する声もあります。
粘膜下筋腫において慢性子宮内膜炎の有病率が高いかどうかを調べた論文をご紹介いたします。

≪ポイント≫

  • 粘膜下筋腫の女性では、壁内筋腫の女性よりも慢性子宮内膜炎の有病率が高い。
  • 慢性子宮内膜炎の治療は抗生剤投与だけではなく、炎症誘導を除去することが改善につながる可能性がある。

≪論文紹介≫

Roya Kabodmehri, et al. J Family Med Prim Care. 2022. DOI: 10.4103/jfmpc.jfmpc_1470_21

2019年4月から2020年4月にRashtのAl-Zahra Hospitalに紹介された非閉経女性(20~55歳であり、性器異常出血がある)に対して実施された前向き症例対照研究です。子宮筋腫群は、筋腫部位により、壁内筋腫群と粘膜下筋腫群の2群に分けました。対照群は子宮筋腫のない性器異常出血があり筋腫がない症例としました。組織評価は10HPFあたり1個以上の形質細胞の存在によって陽性としました。女性年齢、妊娠回数、反復流産の既往、性器異常出血既往、子宮鏡所見(粘膜下筋腫-ポリープ-正常)、子宮内膜組織学所見(ポリープ、内膜炎、過形成)を収集しました。
結果 :
慢性子宮内膜炎の発症率は39%(97例中38例)で、対照群より筋腫群で高い発症率(46% vs. 31%)が認められましたが、今回の症例数では両群間に有意差は認められなかった(P>0.05)。しかし、粘膜下筋腫群における慢性子宮内膜炎の発生率は、壁内筋腫群よりも高かった(64% vs. 37%)(P = 0.04)。

≪私見≫

今回の報告では、異常性器出血がある女性が対象です。筋腫群の組織所見は内膜増殖症 2 (4.1%)、内膜ポリープ  24 (49.6%)、慢性子宮内膜炎  23 (46.3%)、筋腫なし群の組織所見は内膜増殖症 0、内膜ポリープ  33 (68.8%) 、慢性子宮内膜炎  15 (31.2%)でした。生殖医療成績の改善には子宮内炎症を改善させることが何よりも大事で、慢性子宮内膜炎やポリープは、定量化できるマーカーにすぎないのかなと考えています。つまり炎症を起こすものを除去してあげること(手術や抗生剤投与含めて)が近道かもしれません。

文責:川井清考(院長)

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