計画的卵子凍結について(2023/10現在ブログまとめ)
卵子凍結はもはや実験的な段階ではありません。個人的、職業的、経済的な理由で出産を延期する女性が増えたため、世界的にも卵子凍結が増えています。
Reprod Biomed Online. 2023のreviewには下記のような項目がハイライトで記載されています。
・計画的な卵子凍結は、リプロダクティブヘルスを守るための権利である。女性のReproductive autonomyを尊重し、Social Justice(社会正義:社会の常識から考えて正しい道理)を促進する手段である。
・卵子凍結は、卵子の段階で凍結を行わない通常の体外受精よりも成績などの観点では低下する懸念がある。
・計画的な卵子凍結は世界で増加の一方だが、技術や社会的有用性の観点からもまだまだ議論され改善していく必要がある。
・卵子凍結時の年齢と、凍結した保存数が卵子凍結を用いたその後の妊娠成績に強く影響する。38歳未満で成熟卵子を20個以上凍結保存すると、70%の確率で生児が得られる可能性が担保される。
Sarah Druckenmiller Cascante, et al. doi: 10.1016/j.rbmo.2023.103367
当院でも実施しておりますし、さまざまな観点でブログでも取り上げています。
卵子凍結を選択する・しない意思決定、微力でもサポートできれば幸いです。
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文責:川井清考(院長)
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