子宮内膜症女性への卵子凍結の特徴(Reprod Biomed Online. 2020)

Linda C Giudiceらの子宮内膜症の権威ある雑誌の総説でも、「子宮内膜症は、妊娠可能な年齢の女性の6~10%が罹患していること、子宮内膜症女性の35~50%が疼痛、不妊、またはその両方を訴えていること」が示されています。
N Engl J Med. 2010 Jun 24;362(25):2389-98. doi: 10.1056/NEJMcp1000274.

子宮内膜症に対して、手術術前に卵子凍結に関するカウンセリングをおこない、卵子凍結を実施した場合の臨床的特徴を示した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

子宮内膜症で手術をおこなう女性に対して、卵巣予備能の低下や内膜症自身の妊孕性への影響について、手術前にカウンセリングを受けることが好ましそうです。生児獲得率を上昇させるために必要な回収卵子数を確保するのに複数回採卵を重ねることが必要となることも含めて情報提供することが望ましいと考えます。

≪論文紹介≫

Se Jeong Kim, et al. Reprod Biomed Online. 2020 Jun;40(6):827-834. doi: 10.1016/j.rbmo.2020.01.028.

子宮内膜症手術前女性34名を対象に、臨床的成績を検討しました。リプロダクティブ卵子凍結を実施した子宮内膜症女性の1周期目の卵巣刺激成績を、子宮内膜症がない女性22名の成績と1対1の傾向スコアマッチ解析を用いて比較検討しました。
結果:
術前の子宮内膜症性嚢胞の平均サイズは6.0±2.5cm、平均年齢、血清AMH値、凍結卵子数は30.7±5.9歳、1.85±1.14ng/ml、4.8±3.2個でした。両側子宮内膜症性嚢胞女性と片側子宮内膜症性嚢胞女性の凍結保存卵子数は、4.1±2.9個 vs. 5.7±3.4個で差はありませんでした(P = 0.600)。傾向スコアマッチされた健常女性コントロール群に比べて、回収卵子数が有意に少なくなりました(5.4±3.8個 vs. 8.1±4.8個;P = 0.045)。13名(38.2%)の子宮内膜症女性が反復卵巣刺激・卵子凍結とおこないました。

≪私見≫

がん・生殖の普及時もそうでしたが、医療介入前に手術実施施設でおこなっていない医療選択肢を提示することは、なかなか困難です。地域連携などを確立していくことが、医療資源の効率化のために必要なのかもしれません。

文責:川井清考(院長)

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