フォリトロピンアルファ、デルタの薬剤特性

フォリトロピンアルファ(ゴナールエフ®)、フォリトロピンデルタ(レコベル®)の使い分けは単位が違うこともあり(ゴナールエフ:IU(国際単位)、レコベル:μg)、わかりにくいです。
色々と文献をみた結果、フォリトロピンデルタは皮下投与後ゆっくりと吸収され、排泄がゆっくりであり蓄積効果が強い、これにつきそうです。単回皮下注投与AUC(mIU*h/mL)で比較したときは1ug≒25IU(※1)、回収卵子数(アンタゴニスト法)で比較した時には1ug≒15IU(※2)というのが過去の報告からわかっています。

フォリトロピンデルタ
tmax : 23.0±7.7hr(27ug単回皮下注)(※1)
t1/2 : 48.5±30.4hr(27ug単回皮下注)(※1)
CL/F: 0.3 L/h(※3)

フォリトロピンアルファ
tmax : 19.3±8.3hr(450IU単回皮下注)(※1)
t1/2 : 34.5±7.7hr(450IU単回皮下注)(※1)
CL/F: 0.74-0.77 L/h(※4)

≪私見≫

フォリトロピンデルタは、皮下投与後ゆっくりと吸収され、排泄がゆっくりであり、蓄積効果が強いのであれば、クロミッド®を追加したらどうか?という疑問がでてきます。
クロミッド錠50mgは、新生児期のモルモットに0.15g/100g(体重)単回投与した時、Tmaxは3時間。組織への移行性については投与3時間後、卵巣及び下垂体で高く、副腎、肝臓及び子宮の順とされています。クロミッドを付加したHMGアンタゴニスト法を実施した際の臨床結果が改善するかどうかは議論がわかれていますが、フォリトロピンデルタでのデータはありません。今後検討する価値がありそうです。

(※1)Håkan Olsson, et al. J Clin Pharmacol. 2014 Nov;54(11):1299-307. doi: 10.1002/jcph.328.
(※2)Joan-Carles Arce, et al. Reprod Biomed Online. 2020 Oct;41(4):616-622. doi: 10.1016/j.rbmo.2020.07.006.
(※3)Feng Shao, et al. Clin Drug Investig. 2023 Jan;43(1):37-44. doi: 10.1007/s40261-022-01232-9.
(※4)Nazareth Loreti, et al. Mol Cell Endocrinol. 2013 Feb 5;366(1):68-80. doi: 10.1016/j.mce.2012.11.021.

文責:川井清考(院長)

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