子宮腔内癒着剥離術後のエストロゲン補充療法は?(Reprod Med Biol. 2023)

子宮腔内癒着剥離術後の癒着再発率は60%、IUD挿入することで癒着再発を下げることが可能とされています。エストロゲンは、瘢痕表面の再上皮化を促進し、子宮内膜の再生を刺激すると考えられています。エストロゲン量には依存しませんが、子宮腔内癒着剥離術後の癒着再発率を下げることが期待されています。子宮腔内癒着剥離術後のエストロゲン補充療法の癒着再発率・生殖予後を検討した報告をご紹介します。

≪ポイント≫

子宮腔内癒着剥離術後の術後エストロゲン補充療法は癒着再発を予防すると言われていますが、今回のランダム化比較試験では差がありませんでした。

≪論文紹介≫

Miriam M F Hanstede, et al. Reprod Med Biol. 2023 Jun 29;22(1):e12526. doi: 10.1002/rmb2.12526.

子宮腔内癒着剥離術後のホルモン投与が癒着再発を減少させ、生殖予後を改善させるかどうか調査することを目的としました。子宮腔内癒着剥離術後の女性において、経口エストロゲン投与(通常ケア群)とエストロゲン非投与(エストロゲンなし)を比較する単盲検ランダム化比較試験です。2013年9月から2017年2月に組み入れられ、3年間の追跡で再発と生殖予後をモニタリングしました。解析はintention to treat解析としました。
子宮腔内癒着剥離術には癒着防止にIUDを挿入しています。また経口エストロゲン投与はエストロゲン4mg/日 35日、ノルエチステロン10mg/日 10日投与を実施しました。
結果:
114人の女性が試験に組み入れられました。妊娠前および最初の1年以内に、通常治療群では62.7%、エストロゲン無投与群では53%の患者が、通常治療群では平均4.4ヵ月(SD 2.1)後、エストロゲン無投与群では平均3.9ヵ月(SD 2.0)後に症候性SRAを認めた(p = 0.97)
通常ケア群では、89.8%が3年以内に妊娠し、67.8%が生児獲得し、エストロゲン非投与群ではそれぞれ83.6%、60.0%でありこちらも差を認めませんでした。(それぞれp=0.33、p=0.39)。
子宮鏡を実施するきっかけは月経パターンの変化でした。また、術後3ヵ月時点で、経口エストロゲン投与(通常ケア群)に割り付けられた59名のうち、40名(68%)が1つ以上の副作用(大半が体液貯留、頭痛、乳房痛)を報告しました。

≪私見≫

この報告でも子宮腔内癒着剥離術後8-10週で、子宮鏡検査を実施しています。
早い段階の癒着は膜状癒着であることも多く、子宮腔内癒着剥離術後の癒着再発は早い発見・介入がいいと思います。

文責:川井清考(院長)

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