新型コロナワクチン接種 妊娠中、妊娠を希望する人も受けることを推奨します
新型コロナウイルス感染が拡大し、我々のクリニックのある千葉県でも過去にないスピードと規模で新規感染者が増えています。ワクチン接種が一層急がれる中、妊娠中であることでワクチン接種を拒否された等の報道や、妊娠中、妊活中の方がワクチン接種を躊躇しているという声もまだ耳にします。
先般、院長の川井のブログでもご紹介しましたが、アメリカ疾病対策センター(CDC)は、「COVID-19から身を守るために、すべての妊娠中の人、妊娠を考えている人、授乳中の人にワクチンを接種することを勧めています。ワクチンは安全で効果的です。感染力の高いデルタ変異株に直面し、ワクチンを接種していない妊娠中女性の新型コロナウイルス感染の増加や予後を見ていると早急にワクチンをうつことを推奨しています。」と妊婦へのワクチン接種を強く推奨する声明を出しました。
8月14日、日本産科婦人科学会、産婦人科医会、産婦人科感染症学会は最新の知見に基づき、前回6月17日のお知らせの更新として、以下の見解を出しています。
① アメリカ疾病対策センター(CDC)は妊婦さんへのワクチン接種を強く推奨する声明を出しています。わが国においても、妊婦さんは時期を問わずワクチンを接種することをお勧めします。
② 妊婦が感染する場合の約8割は、夫やパートナーからの感染です。
そこで、妊婦の夫またはパートナーの方は、ワクチンを接種することをお願いします。
全文:―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて(第2報)―
厚生労働省のサイト内にある新型コロナワクチンQ&Aも以前の記載は、「器官形成期である妊娠12週までは、偶発的な胎児異常の発生との識別に混乱を招く恐れがあるため、接種を避けていただくこと」としていましたが、現状は「妊娠中のいつの時期でも接種可能としています。」と更新されました。
妊娠初期にワクチンを接種した場合に絶対に赤ちゃんへ影響を及ぼさないということではありませんが、これまでのデータの蓄積により安全で効果的であることが判って来ています。また、デルタ株のような感染力の強い変異株の蔓延下での感染拡大防止の観点から、世界中で妊娠中も含めてワクチン接種が推奨されています。
妊娠中に感染して重症化するリスクや妊娠合併症のリスクも含め、主治医とも相談の上、ご夫婦でもよくご相談いただきご自身の新型コロナワクチン接種をについてご検討いただきたいと思います。
今までの新型コロナワクチンに関するブログもご参照ください
妊娠初期を含めた新型コロナウイルスワクチンの推奨(CDC update 2021年8月現在)
アメリカ・イギリス産婦人科学会の新型コロナワクチンに対する動向
新型コロナワクチン接種 妊娠中、妊娠を希望する人も受けることができます
新型コロナワクチンが女性に不妊症を引き起こすという風評被害(論文紹介)
不妊治療・妊娠のため新型コロナワクチン接種を止めるべきか(2021/7/15更新)
新型コロナウイルス(mRNA)ワクチンの妊娠時の効果(論文紹介)
妊娠中に新型コロナウイルスワクチン接種を推奨する根拠≪授乳について≫
文責:石川恵(事務長)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。