新型コロナワクチン接種 妊娠中、妊娠を希望する人も受けることができます

新型コロナワクチン接種が当初の予想を上回るスピードで進んでいる中、ネットなどでの誤情報もあり、妊娠中、妊活中の方はワクチン接種を躊躇しているという声も多く聞かれ、当院にもワクチン接種に関する問い合わせが増えています。
日本産科婦人科学会、産婦人科医会、産婦人科感染症学会が6月17日に「希望する妊婦さんはワクチンを接種することができます」との見解を発表しました。
全文:―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて―

既に多くの接種経験のある海外の妊婦に対する新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチン接種に関する情報では、「妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの赤ちゃん双方を守るとされています。また、お母さんや赤ちゃんに何らかの重篤な合併症が発生したとする報告もありません」と強調しています。
(現在日本で多く接種されている、ファイザー社とモデルナ社のワクチンはメッセンジャーRNAワクチンです)
その他、当院にもお問合せの多い副反応時の対応等について見解の中から抜粋いたします。
◆妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、特に後期の感染ではわずかですが重症化しやすい。
◆このワクチンを接種することのメリットが、デメリットを上回ると考えられている。
特に感染の多い地域や感染のリスクの高い医療従事者等や、糖尿病、高血圧、気管支喘息などの基礎疾患を合併している方は、ぜひ接種をご検討していただきたい。
◆副反応に関し、妊婦さんと一般の人に差はないこと。発熱した場合、頭痛がある場合には早めに解熱剤(アセトアミノフェン)を内服して問題ない。

今回の通達はTom T Shimabukuroら.(N Engl J Med. 2021. DOI: 10.1056/NEJMoa2104983)より報告された新型コロナワクチン(メッセンジャーRNAワクチン)を妊婦に摂取した際の合併症や周産期予後との関連付けたものだと思います。
しかし、この論文ではv-safeの妊娠登録者のうち、28.6%が妊娠第1期に、43.3%が妊娠第2期に、25.7%が妊娠第3期にワクチンを接種しており、妊娠第1期が少ないため、報告者らも、初期摂取での先天異常との関連性を調べるには限界があるともしています。

今回の日本産科婦人科学会、産婦人科医会、産婦人科感染症学会の見解では、妊娠初期にワクチン接種をされる場合に関しての内容は触れられていませんが、厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aには、「器官形成期である妊娠12週までは、偶発的な胎児異常の発生との識別に混乱を招く恐れがあるため、接種を避けていただくこと」としていますので、主治医と相談し、また今後の学会・厚労省の発表などを吟味して考えていかれるのが良いかと思っています。

文責:石川恵(事務長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

亀田IVFクリニック幕張