PIEZO-ICSIと従来の顕微授精の成績比較(Fertil Steril. 2024)

Deirdre Zander-FoxらのPIEZO-ICSI/従来の顕微授精を同一卵巣刺激周期の卵子で成績を比較検討した論文が報告されました。
Deirdre Zander-Foxらと当院は以前より交流を持たせていただいています。
https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_377.html
私たちもsibling oocyteでのPIEZO-ICSI/従来の顕微授精との比較をしたかったのですが、全症例PIEZO-ICSIに移行してしまっていたため、このような研究が行えず、他機関からでる報告を心待ちにしていました。

≪ポイント≫

PIEZO-ICSIが従来のICSIと比較して受精率を高め、卵子変性率を低下させ、胚盤胞の質を高める可能性があります。

≪論文紹介≫

Deirdre Zander-Fox, et al. Fertil Steril. 2024 Jan 23:S0015-0282(24)00031-1. doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.01.028.

PIEZO-ICSIが、従来のICSIと比較して、受精率を高め、変性率を低下させ、卵子1個あたりの有効胚率を高めるかどうかを検討することを目的とした多施設sibling-oocyte試験です。対象はall ICSIを行う患者で、成熟卵子が7個以上回収できた周期としました。 卵巣刺激後採卵で回収できた成熟卵子を2群に分け、半分を従来の顕微授精、残り半分をPIEZO-ICSIとしました。回収卵子数が奇数の場合は従来の顕微授精に端数を回しました。顕微授精の順番によるバイアスがないように、最初に実施する顕微授精も無作為化しています。
評価項目は正常受精率としました。
結果:
正常受精率はPIEZO-ICSI 71.6%、従来の顕微授精 65.6%であり、PIEZO-ICSIが良い結果となりました。従来の顕微授精に比べて卵子の変性率が低下していました(6.3% vs. 12.1%)、5日目胚盤胞(4ランクに分類)の上位2ランクに値する正常受精卵・胚盤胞培養あたりの割合もPIEZO-ICSIで増加しました(33.3% vs. 27.5%)。胚異数性率や有効胚率、臨床妊娠率、出生率も差を認めませんでした。

≪私見≫

世界的に不妊治療分野でのPIEZO-ICSIが評価されはじめてきています。当院の平岡も定期的に各国に指導に参りますが、しっかり論文報告なども行なっていきたいと思っています。
当院培養士ブログも参考になさってください。

 

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文責:川井清考(院長)

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