動画で見る顕微授精の流れ②

今回は新しい試みとして動画で一つの技術の一連の流れを動画で紹介しています。

今回紹介したい技術は卵子の中に精子を一つ入れる受精を促す顕微授精です。
顕微授精の一連の流れは以下の通りです。

  1. 卵子を探して培養液で洗浄
  2. 卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞を取り外して成熟判定
  3. 精子の探索と不動化
  4. 卵子の紡錘糸観察
  5. 卵子への精子注入
  6. 受精確認

 

今回は、
2. 卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞を取り外して成熟判定
の動画を紹介致します。
前回紹介させて頂いた、
1. 卵子を探して培養液で洗浄
のところで卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞はある程度取り外されています。
次に行うのが成熟判定です。
動画は全部で1分1秒です。全部で5個の卵子の成熟判定を行っています。同じ卵子を二回見ているので、7個の卵子の成熟判定を行っているように見えます。卵子回りの粒々細胞(放射冠と呼ばれています)の様子を顕微鏡で一個ずつ拡大して注意深く観察して、超未熟(Germinal Vesicle)、未熟(Metaphase I)、成熟(Metaphase II)の判定を行います。また成熟(Metaphase II)の中でも未熟寄り、成熟、過熟寄りの3段階に分けて評価を行います。

動画での判定は一瞬なので写真で簡単に解説致します。

卵子の成熟度は、超未熟→未熟→成熟(未熟寄り)→成熟(成熟)→成熟(過熟寄り)の流れで進んでいきますが、卵子回りの細胞を良く見ると、未熟寄りのものはブロックのような大きな塊になっていてゴロゴロしていますが、成熟に向かうにつれて、どんどん小さくなって滑らかになってゆき、過熟に向かうにつれ、細胞は黒く脆くなりポロポロ外れていきます。

ここでの成熟判定の正解率は100%ではなく、感覚的に80-90%といったところですが、受精方法の決定をする上でとても大切な指標になっています。

次回は③精子の探索と不動化

を動画で紹介致します。

文責:平岡謙一郎(培養室長)

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亀田IVFクリニック幕張