動画で見る顕微授精の流れ①
今回は新しい試みとして動画で一つの技術の一連の流れを動画で紹介したいと思います。
今回紹介したい技術は卵子の中に精子を一つ入れる受精を促す顕微授精です。
顕微授精の一連の流れは以下の通りです。
① 卵子を探して培養液で洗浄
② 卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞を取り外して成熟判定
③ 精子の探索と不動化
④ 卵子の紡錘糸観察
⑤ 卵子への精子注入
⑥ 受精確認
今回は、
① 卵子を探して培養液で洗浄
の動画を紹介致します。
最初の動画では、卵子が入っている液(卵胞液)を丸い直径9cmのシャーレの中に出して、顕微鏡でシャーレ全体を見渡して卵子を探しています。卵子はお腹の中から取り出された直後は粒々の小さな細胞(卵丘細胞)に卵子全面を覆われているので卵子はパンダ🐼の目のように見えます。最初の動画は全部で55秒です。7秒と12秒で、一瞬ですが、卵子が映っています。その後、シャーレ全体を見渡して、見落としがないか再度確認しています。34秒以降、卵子よりも大きい内径のパスツールピペットを使って見つけた卵子2個を並べています。
次の動画では、見つけた後は培養用の培養液の中で卵子を洗浄(卵子よりも大きい内径のパスツールピペットの中に勢いよく吸ったり吐いたりを繰り返す)します。目安としては卵子の回りを覆っている卵丘細胞が元の大きさより小さくなるまで行います。シャーレの中に出した卵胞液の中には血液等が混入しています。血液等は卵丘細胞を固める作用があり、その後の操作で卵子にダメージを与える可能性があるため、次に示す動画のように培養液の中での洗浄はとても重要です。動画は全部で48秒です。途中、画面が見切れてしまっている部分があり見づらくて申し訳ありません。最初と最後で卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞が洗浄により小さくなっているのがお分かり頂けると思います。
次の動画は卵子を洗浄している時の培養士の手元を撮影したものです。パスツールピペットの中の液の動きを見て頂くと、卵子をパスツールピペットの中に勢いよく吸ったり吐いたりするためにはこれだけ指を正確に激しく動かさないといけないのがお分かり頂けると思います。
次回は②卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞を取り外して成熟判定
を動画で紹介致します。
文責:平岡謙一郎(培養室長)
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