動画で見る顕微授精の流れ③その弐
今回は新しい試みとして動画で一つの技術の一連の流れを動画で紹介しています。
今回紹介したい技術は卵子の中に精子を一つ入れる受精を促す顕微授精です。
顕微授精の一連の流れは以下の通りです。
① 卵子を探して培養液で洗浄
② 卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞を取り外して成熟判定
③ 精子の探索と不動化
④ 卵子の紡錘糸観察
⑤ 卵子への精子注入
⑥ 受精確認
今回は、
③ 精子の探索と不動化
その弐「精子の不動化」を動画で説明します。この操作は文字通り、精子を動かなく(=不動に)します。精子の頭には男性のDNAが含まれていますので、こちらには触れないようにして、精子の尻尾の部分にだけ傷を入れて動けなくします。尻尾に傷を入れる方法ですが、卵子の中に精子を注入するガラスの針を使います。ガラスの針で精子の尻尾を上から抑え込んだ状態でガラスの針を横にスライドさせることによって傷を入れます。精子の動きが完全に止まるまで、この操作を繰り返します。
動画は全部で39秒です。ここでは5回傷を付けていますが、回数に決まりはなく、精子の動きが完全に止まるまでするという決まりにしています。
この精子の不動化をする理由ですが、二つあります。
一つ目、精子を動いたまま卵子の中に入れると、卵子の中で卵子が動き回って卵子が破壊されてしまうからです。
二つ目、不動化された精子は、この後、卵子の中に注入されることになります。精子の尻尾には卵子に侵入したことを知らせる物質が入っています。卵子の中に精子が注入された後に精子の尻尾にある物質を尻尾の外に、そして卵子の中に滲み出させるためです。
今回は「③ 精子の探索と不動化」その弐として「精子の不動化」を紹介させて頂きました。次回は「④ 卵子の紡錘糸観察」を紹介致します。
文責:平岡謙一郎(培養室長)
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