初回hCG測定後4-6日上昇率で初期流産・異所性妊娠は判断できるか(Obstet Gynecol. 2023)
妊娠時初回測定のhCGの判断が微妙な場合、再測定で妊娠継続率が予想できるかを検討したモデルです。このモデルでは異所性妊娠・初期流産はまだまだ予測が難しいのでは?という結論になっています。
≪ポイント≫
初回hCG測定後4日目および6日目のhCG上昇率(それぞれ70%以上および200%以上)に基づく新しいモデルで異所性妊娠・妊娠初期流産を除外するのは難しそうです。
≪論文紹介≫
Kassie J Bollig, et al. Obstet Gynecol. 2023 Jul 1;142(1):139-146. doi: 10.1097/AOG.0000000000005235.
方法:
2015年1月1日から2020年3月1日までにミズーリ大学を受診し、初回値が2 〜5,000 MIU/mL以下の場合、定量的hCG血清値が少なくとも2回連続し、採血間隔が7日以内であった女性を対象とした単一施設のレトロスペクティブコホート研究です。妊娠継続、異所性妊娠、妊娠初期流産の発生率を新しいモデルを用いて評価し、妊娠継続に必要な最低限期待されるhCG上昇率を検討しました。
結果:
1,295名のうち、688名が基準を満たしました。167名(24.3%)が子宮内妊娠継続可能症例、463名(67.3%)が妊娠初期流産、58名(8.4%)が異所性子妊娠でした。
初回hCG測定後4日目および6日目のhCG上昇率(それぞれ70%以上および200%以上)に基づく新しいモデルを作成しました。このモデルは、妊娠初期流産や異所性子妊娠を妊娠継続群と判断するリスクを最小限に抑えることが可能なモデルとして構築しました。初回hCG測定後4日目では、14名の異所性妊娠(24.1%)および44名の妊娠初期流産(9.5%)が妊娠継続の可能性があると誤分類しました。初回hCG測定6日目では、異所性妊娠7名(12.1%)および妊娠初期流産25名(5.6%)が妊娠継続の可能性があると誤って分類しました。
≪私見≫
上記論文は体外受精に限った論文ではありません。正常胚の妊娠判定時のhCG 基準値を示したブログも参考になさってみてください。
単一正常核型胚盤胞を戻した際の妊娠判定時のhCG値
着床前検査は妊娠時のHCGの低下や周産期予後に影響を与えるの?(論文紹介)
文責:川井清考(院長)
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