診療科・部門紹介 直腸肛門外科

診療内容

直腸肛門外来では、肛門にできる病気(いぼ痔や切れ痔など)、排便にかかわる問題(便秘や便失禁)を専門に診療する外来です。

肛門疾患に対しては、豊富な経験とMRIや3D肛門管超音波機器を使用しての的確な診断と患者さまのニーズにあった治療法を提示していくことを心がけています。

便秘や便失禁について専門で扱っているクリニックは少ないと思います。当外来では、肛門内圧検査、肛門管超音波検査を行うことができ、原因に合わせた治療を選ぶ事ができます。クリニックには管理栄養士がおり、ライフスタイルに合わせて排便のトラブルを改善させる食事指導を受ける事ができます。また、骨盤底筋トレーニング専門の理学療法士の外来もあり骨盤底のトラブルに対して骨盤底筋エクササイズやバイオフィードバック療法を受けることもできます。

最近は産後に肛門疾患で悩んだり、便の我慢がききづらくなったなどのトラブルを抱える女性を多く見かけます。とくに便漏れについては、骨盤底筋エクササイズや括約筋形成術、仙骨神経刺激療法など多彩な治療方法を選択できます。

毎週金曜日に「女性のためのこう門・おつうじ外来」を開いています。
これは女性の方に気兼ねなく相談に来ていただきたく考えました。待合室は女性専用ブースを用意していますので男性の目を気にする必要はありません。診察を担当させていただくのは日本大腸肛門病学会の指導医の資格をもつ女性医師です。女性同士ですので安心して悩みを話していただければと思っております。

手術が必要になった場合は、本院である亀田総合病院(鴨川)に入院となりますが、できるだけ短期の入院期間に努めます。また、本院とカルテは共有していますので、手術に必要な検査は京橋クリニックで行うことができ、鴨川へは入院のときのみの来院で済みます。入院のお部屋(個室)は、眺めの良いホテルのようなリラックスできる部屋ですので、ちょっとした旅行気分で手術を受ける事ができます。退院後の診療はもちろん京橋クリニックでうけることが可能です。
 

診療関連トピックス

対象疾患

1.三大痔疾患
痔核:痔核が小さい場合は、排便習慣の改善や坐剤、外来でのパオスクレーによる硬化療法などで症状改善が期待できます。排便の度に脱出し手で戻す3度の痔核、常時脱出している4度の痔核に対しては結紮切除手術、硬化療法の一つであるALTA療法を行っています。

裂肛:排便習慣の改善、薬や食事療法による硬い便を軟便化させることで多くの方で症状の改善がみられます。強度の肛門狭窄や痔核や肛門ポリープが原因となって難治性の裂肛となっている場合は手術の適応となります。肛門狭窄に対しては内肛門括約筋側方切開術、Sliding Skin Graftを行い、痔核や肛門ポリープに随伴する裂肛には結紮切除術を行います。

痔瘻:持続する排膿や腫れを繰り返す場合に手術を行います。通常の診察だけでなく、3D肛門管超音波装置、MRIなど最新の画像検査機器を使用して的確に痔瘻を評価し、根治と肛門機能温存という相反する目標を追求しております。比較的よく見られる低位筋間痔瘻では瘻管の深さ、炎症の程度に応じて切開開放術、シートン法、括約筋温存手術を選択していきます。膿瘍腔(ウミが主にたまる場所)が肛門の深くにある深部痔瘻(座骨直腸窩痔瘻、骨盤直腸窩痔瘻)に対しては、できるだけ括約筋の損傷を防ぐ肛門保護法を選択しています。

2.直腸脱
肛門から腸が大きくでてくる病気である直腸脱は、症状は直腸の脱出だけでなく、便のもれや排便困難、便や粘液などによる下着の汚れなども伴います。全身の状態に応じて肛門側から手術する方法、または腹腔鏡による直腸固定術を選択しています。
直腸脱と子宮脱や膀胱瘤との合併症に対しても同時手術ができます。

3.出産後に起こる肛門のトラブルや便秘、便もれ
出産は女性にとって体の筋肉やホルモンバランスなどの変化が激しいため、おしりや便通にもトラブルを抱える方を多く見られます。現在、直腸肛門外来は女性医師で行っていますので、安心してご相談していただければと思います。特に京橋クリニックでは分娩後に起こる便失禁については超音波を使っての肛門括約筋や肛門挙筋損傷のチェック、栄養師による食事指導、理学療法士による骨盤底筋群エクササイズを受ける事ができます。

4.便秘
厚生労働省の2013年国民生活基礎調査によると便秘を訴える女性は20才を超えると徐々に多くなり、70才以上では10人に1人となっています。京橋クリニックでは便秘に対して以下の取り組みを行っています。

・大腸通過時間検査(ジッツマーク検査)
・食事内容調査と栄養相談
・経会陰超音波による直腸瘤や小腸瘤のチェック
・来院時使用している下剤が適正かどうかのチェックやアドバイス

また、直腸性便秘を疑う方へは、本院:亀田クリニックで排便造影検査をご案内しています。骨盤底筋の動きが原因の便秘(アニスムス)の場合には、バイオフィードバック訓練を行っています。バイオフィードバックとは、肛門部に筋電図計をつけ筋肉の動きをモニターに写して理解を深めながら行う理学療法の一種です。

5.便失禁
排便を自分でコントロールできずに、気づかぬうちに便で下着がよごれてしまう、または便意の我慢ができずトイレまで間に合わずに漏れてしまうことを便失禁といいます。
便失禁の原因として、加齢による筋力低下、分娩時に生じた肛門括約筋損傷、過敏性腸症候群、直腸癌術後に伴う症状などがあります。亀田京橋クリニックでは、肛門内圧検査、直腸感覚検査、肛門管超音波検査を受ける事ができます。治療は、当院では薬だけでなく栄養士による食事指導、骨盤底筋体操、バイオフィードバックを提供しており、患者様のライフスタイルに応じたものを選択できるようサポートいたします。
外科的治療法としては、分娩による肛門括約筋損傷に対しては肛門括約筋形成術、従来の治療に無効な場合に対して仙骨神経刺激療法を亀田総合病院にて行っています。

診療実績

外来患者数:1,220名
 (2021年度実績)
手術の必要な場合は鴨川の本院で行っております。

参考:亀田メディカルセンター(本院)
手術件数(2021年~2024年)
症例 2021年 2022年 2023年 2024年
痔核 結紮切除術 69 56 54 28
ALTA単独 0 4 0 0
ALTA With mucopexy 37 32 35 4
痔瘻 LIFT 30 35 28 6
切開解放術 11 13 11 2
seton法 6 7 3 3
MRI navigation 0 1 3 4
瘻管摘出術 0 0 0 1
Flap手術 0 0 0 0
肛門周囲膿瘍切開ドレナージ 2 2 1 0
Hanley変法 1 3   0
直腸肛門ポリープ ポリープ摘出術 14 7 10 5
肛門粘膜脱 結紮切除術 2 6 6 0
肛門部尖形コンジローマ   1 1 0 2
肛門狭窄・裂肛 Lateral sphincteroptomy 0 0 0 0
Partial Sphincterotomy 0 0 0 0
狭窄形成術 7 7 8 1
SSG 2 1 0 1
分娩時肛門括約筋損傷 分娩直後 肛門括約筋修復術 0 3 1 1
陳旧性 肛門括約筋形成+皮弁 1 0 1 0
直腸腟瘻 0 0 1 0
直腸瘤 TAD 3 6 2 1
直腸脱直腸重積小腸瘤 LVR 17 8 11 6
LVR+LSC 2 4 1 0
Delorme 5 5 9 2
Altemaier 2 1 1 1
SNM         1
合計 212 202 186 69

担当医表

担当医表や休診情報がご確認頂けます。
担当医表

スタッフ紹介

診療科・部門紹介 へ戻る
ページトップに戻る