診療科・部門紹介 感染症内科(トラベル・ワクチン外来)

診療内容

今日では様々な年代や疾患を抱えた人も海外旅行をするようになりました。渡航地域も都市部だけでなく、ジャングル、高地、砂漠地域への旅行も手軽にできる時代となり、旅行に特有な健康問題も増加しています。
 

海外渡航中だけでなく渡航後の発熱にも要注意!-海外渡航中/渡航後感染症-

海外渡航することで日本では存在しない病気にかかることがあります。例えば蚊に刺されることによって感染するマラリアやデング熱です。それらはアフリカ、東南アジア、中南米などの熱帯地域で流行している感染症で、短期間の渡航者でも感染することがあります。日本に帰国した後に症状が出て国内の医療機関を受診するケースも増えています。国内ではそのような感染症に慣れていない医療施設も多く、診断が遅れることがあります。また、渡航者の感染症に対する知識不足から受診が遅れ、重症化することもあります。
 

海外渡航前に予防できる病気がある!

海外渡航時にかかる感染症の中にはワクチンで予防できるものも多くあります。例えば、狂犬病という病気をご存知でしょうか?犬やその他のほ乳類との接触(主に咬まれること)で感染し死亡率の高い(発症すれば、ほぼ100%の致死率)ウイルスによる感染症ですが、国内での感染は1957年以降の報告がなかったためご存じない方も多いかもしれません。しかし、2006年にはフィリピンから帰国後に発症した症例があり、インドでは年間2万人の死亡者が出ていますが、これもワクチンによって防ぐことのできる病気です。渡航先や渡航形態に合わせて必要なワクチンを見極め、副作用や効果について理解してもらうことも私たちの仕事です。ワクチンでは予防できないマラリアも重症化すると命に関わる病気ですが、流行地渡航前から流行地を離れての一定期間に薬を飲んでおく予防内服という手段があります。また、マラリアやデング熱など蚊が媒介する感染症に対しては、蚊に刺されないようにする対策も大事です。

当院で接種可能なワクチンについては「当院で接種可能なワクチンについて」をご覧下さい。
 

まさか、わたしが高山病!

高山病は登山者の病気と考えられていましたが、交通機関の進歩により簡単に、そして短時間で高地に到達できるようになりました。高山病になって初めて、渡航目的地が高地と知ることもあるようです。ペルーのクスコ、ボリビアの首都ラパスなどは日本からの旅行者にも人気がありますが、標高は富士山と同じくらいの3000mから、それを超えるような高地もあります。多くの旅行者が頭痛、倦怠感などの高山病症状を自覚していますので、予防薬の内服とゆとりのある渡航スケジュールをおすすめしています。
 

持病があっても海外旅行!

高血圧症や糖尿病などの持病のある方が海外渡航をする場合もありますが、まず渡航が可能な健康状態であるかの評価を受けることが大切です。また、海外渡航時に出会うことの多いトラブル(時差に対するインスリンや経口血糖降下薬などの糖尿病薬剤調節など)について事前に学んでおくことも、快適な旅をするには欠かせません。
 

より安全で楽しい海外渡航のためにできることがあります

上記のような渡航に関連する健康問題に対応する医学専門領域として旅行医学があります。旅行医学に内科慢性疾患の知識は不可欠です。さらに渡航後に発熱を生じた場合、それが渡航に関連したものかを判断するためにも全般的な内科知識、特に感染症に関する広い知識が要求されます。当クリニックでは幅広い内科学の知識を兼ね備えた感染症学、旅行医学の専門家が診療にあたっております。

より安全で楽しい海外渡航のためにできることがあります。どうぞお気軽にご相談ください。

※あらかじめ(感染症内科(トラベル・ワクチン外来)の問診票)をダウンロードしていただき記入した問診票をご持参いただきますと、スムーズに受付ができます。
 

感染症科を担う人材の養成を目的に、イベント、学術、臨床研修教育などや日常の出来事を含め発信しています。
Kameda ID fellowship Program
 
 
 

診療関連トピックス

対象疾患

主に取り扱っていること

渡航前相談 渡航前健康診断 渡航後発熱およびその他の症状
・ワクチン、予防接種
・マラリア予防内服
・防蚊対策
・小児、妊婦、高齢者の海外旅行
・持病のある方の海外旅行
・英文健康診断書
・海外留学健康診断書
・ワクチン接種証明書
・抗体価証明書
・渡航後の発熱
・渡航後の下痢
・渡航後のその他症状
・帰国から長期間経過しており渡航との関連が不明な症状

当院で接種可能なワクチンについて



渡航前相談
- 予防接種
渡航する地域や渡航スタイルによって注意するべき現地の病気があります。地域に特徴的な病気は感染症が主で、それらの中にはワクチンを接種することで予防できるものがあります。具体的なワクチンの種類や接種回数については別表のとおりです。中には複数回接種が必要なものもあります。また以前にワクチンを接種していても追加接種が望ましい場合もあります。どのようなワクチンを接種したらよいかを個々に相談し接種するのがワクチン外来です。ワクチンによっては接種完了までに半年かかるものもあるので、渡航前に数ヶ月の余裕を持って受診して頂くことが理想的です。さらに旅行時にワクチン計画をたてることは、国内で本来接種されているべき予防接種がされているかのを確認するよい機会でもあります。母子手帳(母子健康手帳)などの予防接種記録があれば、その確認がスムーズになるため、受診時に持参されることをおすすめします。 直前であってもいくつか予防措置のとれるものもあります。まずはご相談ください。

ワクチン接種計画に必要な情報
・海外渡航にかかわらず接種されているべきワクチン
・渡航国入国にあたり義務づけられているワクチン
・渡航にあたり推奨されるワクチン
・過去のワクチン接種記録
・ワクチン毎の接種回数、接種間隔
・必要があれば抗体価の確認

渡航外来で推奨されることの多いワクチンの種類、初回接種回数、初回標準接種のために要する期間
(初回接種:過去に同様のワクチン接種歴が無い場合のワクチン接種)

ワクチンの種類 接種回数 標準接種に要する期間
A型肝炎 3回 6ヶ月
B型肝炎 3回 6ヶ月
狂犬病 3回 6ヶ月
破傷風 3回 6ヶ月
日本脳炎 3回 1年
黄熱 1回
腸チフス 1回
髄膜炎菌 1回
麻疹 2回 1ヶ月
風疹 2回 1ヶ月
水痘 2回 1ヶ月
ムンプス(おたふく) 2回 1ヶ月


ワクチン製剤の種類や過去のワクチン接種歴によって接種回数や標準接種に要する期間は異なる場合があります

- マラリア予防内服、防蚊対策
ワクチンで予防できない感染症に対しての対策をお伝えすることも私たちの専門分野です。例えばマラリアにについては、これから渡航する地域、スケジュール、費用も含めて予防内服の必要性を検討し、その処方を行います。熱帯地域にはマラリアやデング熱など蚊が媒介して起こす感染症が多いため、蚊の対策(虫さされ予防)もお伝えしています。

- 小児、妊婦、高齢者の海外旅行
小児、妊婦、高齢者の海外渡航には特別に注意を要する場合もあるので、旅行医学の専門外来受診をおすすめします。妊婦に関しては週数によって飛行機に乗ることを断られる場合があります。妊娠中はしようできないワクチンや予防内服薬もあるため、特別な対応が必要なことがあります。高齢者のなかには持病を抱えて定期的に薬を内服している方もいらっしゃいます。海外渡航が可能かどうか、もともとのご病気の状態を評価するとともに、海外渡航に伴い持病に関連して起こりやすいトラブルなどについての対策もお伝えします。

渡航前健康診断
海外で仕事をしたり勉強するために渡航する方も増えています。その際に先方の施設へ診断書を提出しなければならないことも多く、いくつかの感染症に対する抗体価(病原体に対する免疫を獲得しているかの指標で血液検査で調べることができます)やワクチン接種歴の証明を求められています。各国で予防接種スケジュールやワクチン製剤(薬剤の種類)が異なるために、その記載は経験のある医療機関に依頼することをおすすめします。

渡航後(帰国後)発熱およびその他の症状(海外の学校や就職に際しての診断書記載など。英文診断書にも対応します。)
渡航後に体調を崩した場合は、旅行医学など渡航後発熱・下痢などの症状に詳しい専門家に相談されることをおすすめします。渡航地によって特殊な感染症があり、日本国内の医療機関ではそれらの病気に対する経験が乏しいため診断が遅れたり、診断設備が不十分な場合があります。渡航に関連した感染症は概ね3ヶ月以内に症状が出ますが、3ヶ月以上経過していても旅行と症状の関連が心配な場合にも是非ご相談ください。

渡航後発熱の原因として注意が必要な病気
・マラリア
・デング熱
・ レプトスピラ症
・リケッチア感染症
・腸チフス
以上が旅行後の感染症として有名ですがその他にも国内ではまれな感染症に対応します。

診療実績

外来患者数:1,150名
 (2019年度実績)

渡航・ワクチン相談 756件
(内訳)
国内ワクチン
ワクチン種類 件数
麻疹 28
風疹 28
MR(麻疹+風疹) 32
ムンプス(おたふく) 89
水痘(水ぼうそう) 86
4種混合(DTaP+IPV:クアトロバック) 3
3種混合(DTaP: トリビック) 9
破傷風 94
日本脳炎 104
不活化ポリオ 40
肺炎球菌(PCV13: プレベナー13) 9
肺炎球菌(PPSV23: ニューモバックスNP) 8
Hib(アクトヒブ) 8
インフルエンザ 6
A型肝炎(エイムゲン) 29
B型肝炎 74
髄膜炎菌(4価: メナクトラ) 26
Gardasil(4価HPV) 3
合計 676

輸入ワクチン
ワクチン種類 件数
PRIORIX(MMR: 麻疹+風疹+おたふく) 99
BOOSTRIX(成人3種混合) 91
TWINRIX(A型+B型肝炎) 188
HAVRIX(A型肝炎) 35
Typhim Vi(腸チフス) 106
狂犬病(Rabipur, Verorab) 274
BEXSERO(髄膜炎菌B型) 6
Gardasil9(9価HPV) 124
合計 923
手術は行っておりません。

担当医表

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