亀田IVFクリニックにおける34歳以下の胚盤胞凍結基準参考資料(当院データ)
どの基準の胚までを移植胚と判断するかは、医療施設ごとに委ねられます。
「超良好胚しか移植しません」となると、他の胚は廃棄してしまうことになり、廃棄した胚の中に胎児になり得た胚が存在した可能性が生まれます。
最後は患者様ごと、施設ごとに移植可能胚を決めていくことになりますが、当院で過去に治療をおこなった患者様のデータを参考に胚盤胞の凍結基準の目安を作成いたしました。
保険診療で体外受精を行う際の参考になさってください。
なお、受精卵の胚盤胞グレードは当院ではGardner分類を中心として先進医療のタイムラプス加算を行った患者様にはAIによるスコアリングも胚選択の指標にしています。
亀田IVFクリニック幕張での胚盤胞凍結時のグレード評価
当院独自の胚移植、凍結の際のグレード評価
- 厳格基準 day5AA 、day5 AB BA
- 優良基準 day6AA 、 day5 BB
- 一般基準 day6 AB BA 、day5 BC、day5 CB
- IUI(人工授精)妊娠率担保基準 day6 BB、day6 CB、day6 BCなど
凍結判断のお勧め(女性年齢34歳以下の場合)
●優良基準(day5AA 、day5 AB BA、day5 BB、day6AA )まで凍結する場合
正常受精卵(2PN)あたり29%凍結. 優良基準胚以上の胚移植あたり分娩率は45-55%.
初回5個以上 胚盤胞凍結ができそうな患者さまに推奨
●一般基準(day6 AB BA 、day5 BC CB)まで凍結する場合
優良基準以上凍結の場合に比べて、正常受精卵(2PN)あたり7%増加.
一般基準胚の胚移植あたり分娩率は35-40%.
初回の患者さまに推奨
●IUI(人工授精)妊娠担保基準(day6 BB 、 day6 CB BC)まで凍結する場合
一般基準以上凍結の場合に比べて、正常受精卵(2PN)あたり10%凍結胚増加.
IUI(人工授精)妊娠担保基準の胚移植あたりの分娩率は25%.
複数胚移植を検討の方、良好胚が全くできない貴重胚の方に推奨
※当院における卵巣刺激をおこない正常受精胚を9個獲得した場合の割合です。
体外受精の保険診療では、40歳までの治療計画をたてた場合の胚移植回数は6回、43歳までの場合は3回までとなっています。どのグレードの胚まで移植胚と考え、凍結するのかの判断が重要となってきます。医学的な必要性(子宮付属器手術による避妊の発生など)があれば一定数の貯胚が認められますが、基本は移植可能胚があれば次の採卵をおこなわず胚移植をおこなうことが必要です。また保険診療で作成した凍結胚は原則保険外の診療で用いることは不可とされています。施設ごとに凍結基準は異なりますが、凍結のタイミングや治療方針・成績は生殖医療施設ごとに異なりますので当院の患者さまが治療を行う参考にとどめていただければ幸いです。
~その他の年齢別胚盤胞凍結基準参考資料~
亀田IVFクリニックにおける35-37歳の胚盤胞凍結基準参考資料(当院データ)
亀田IVFクリニックにおける38-39歳の胚盤胞凍結基準参考資料(当院データ)
亀田IVFクリニックにおける40-42歳の胚盤胞凍結基準参考資料(当院データ)
~参考コンテンツ・過去のブログ~
●体外受精における受精卵の発育過程と評価
https://medical.kameda.com/ivf/patient/outpatients/library/process_evaluation/index.html
●体外受精における受精卵の発育過程と評価
https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_14.html
●亀田IVFクリニック幕張 保険適用体外受精治療の費用概算
https://kameda-ivf.com/info.php
●複数胚移植の多胎のリスク
不良胚盤胞と良好胚盤胞を一緒に戻すと出生率に足をひっぱることがある?(論文紹介)
不良胚を一緒に戻すと良質胚の足をひっぱる?(論文紹介)
2個の胚盤胞移植(凍結融解周期)をしたときの妊娠転機は?(論文紹介)
多胎妊娠率と単一胚移植率が世界的で異なる理由と今後の目標
二個胚移植の二個着床する予測因子(論文紹介)
高齢女性における二個胚移植の臨床結果(当院データ)
文責:川井清考(院長)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。
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