HCG投与後6日後/7日後凍結融解胚盤胞移植の成績は一緒(Heliyon. 2023)

排卵周期凍結融解胚移植はhCG+7(160時間前後)、もしくはLH+6のタイミングでの胚盤胞移植が成績がよいこと、黄体補充は行ったほうが良いことは間違いなさそうです。

今回、ご紹介する論文はHCGトリガー後24時間の排卵前と思われる時期に黄体補充をおこなって凍結融解胚盤胞移植をしても成績がおちないかどうかを調査した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

HCG投与後6日後/7日後の凍結融解胚盤胞移植の成績は変わらないことがわかりました。

≪論文紹介≫

Wen-Jing Jiang, et al. Heliyon. 2023 Jan 24;9(2):e13218. doi: 10.1016/j.heliyon.2023.e13218.

修正排卵周期凍結融解胚移植において、hCGトリガー24時間/48時間後の黄体補充後の胚移植は着床に影響を与えるかどうかを調べることを目的としたレトロスペクティブコホート研究です。2019年1月から2021年8月に生殖医療施設で実施された756周期の修正排卵周期凍結融解胚移植を対象とし、主要評価項目を生児獲得率としました。42歳以下の女性を対象とし、hCGトリガー24時間後の黄体補充群182症例とhCGトリガー48時間後の黄体補充574症例を、多変量ロジスティック回帰分析を用いて比較検討しました。
結果:
患者背景はハッチング(24時間群53.8%、48時間群42.3%、p = 0.007)を除き、2つの群間で差はありませんでした。24時間群では182周期中56周期(30.8%)、48時間群では574周期中179周期(31.2%)で、生児獲得し群間に差は認めませんでした(aOR 0.98、95%CI 0.67-1.43、p=0.913)。

≪私見≫

このプロトコールは主席卵胞径が17mm以上、子宮内膜の厚さが7mm以上、P4が1.5ng/ml未満、E2が150pg/ml以上の場合、午前9時頃にhCGトリガーを実施しています。Limitationでも書かれていますが、単一生殖医療施設でのデータなのでhCGトリガーのタイミングなど施設によって異なるので自施設でのデータでも確認が必要だと思います。ただ、サブグループ解析で、トリガー時P4 1.0ng/ml cutoffで差が認めていませんので、排卵前P4の軽度上昇は凍結融解胚移植成績にはあまり大きなインパクトはないんだなと感じています。
customizable mNC-FET methods.とは、よい呼び方だなーと思います。
メジャーになってくる造語はなんでしょうね。

文責:川井清考(院長)

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