iDAScore v2.0は妊娠予測性能が向上している(Reprod Biomed Online. 2023)

どの胚盤胞まで移植する胚盤胞とするかはとても判断が難しいところです。
ガードナー分類で day5BCとday6BAならどっちを移植しよう?このような悩みはつきません。客観データとしてのiDAScoreは生殖医療者・患者サイドともに移植胚を選択するうえでわかりやすいスコアリングだと思っています。
バージョンアップされたiDAScore v2.0のv1.0との比較した臨床成績をご紹介いたします。

≪ポイント≫

iDAScore v2.0は心拍陽性の妊娠予測性能は、どの年齢層をみてもiDAScore v1.0、ガードナー分類と同等もしくは優れていることがわかりました。

≪論文紹介≫

Satoshi Ueno, et al. Reprod Biomed Online. 2023. doi:10.1016/j.rbmo.2023.103308

凍結融解単一胚盤胞移植3,960周期のiDAScore v2.0を用いた妊娠予測をレトロスペクティブに実施しました。胚はSARTを推奨する年齢群(< 35, 35–37, 38–40, 41–42, > 42 )にて層別化しました。胚のスコアリングは、iDAScore v1.0、v2.0、およびガードナー分類によって評価しました。各年齢別にROC AUCを用いて比較検討しました。
結果:
全コホートにおけるiDAScore v2.0、iDAScore v1.0、ガードナー分類のAUCはそれぞれ0.736、0.720、0.702であり、iDAScore v2.はiDAScore v1.0、ガードナー分類より高くなりました(p<0.0001)。
35歳未満群(n = 757)
iDAScore v2.のAUCはガードナー分類より高くなりました。
(0.718 vs. 0.694、p = 0.015)
35-37歳群(n = 821)
iDAScore v2.のAUCはiDAScore v1.0より高くなりました。
(0.712 vs. 0.696、p = 0.035)
41-42歳群(n = 715)
iDAScore v2.のAUCはガードナー分類よりも高くなりました。
(0.745 vs. 0.696、P = 0.007)
42歳以上群(n = 660)と38-40歳群(n = 1,007)
群間に差は認めませんでした。

≪私見≫

iDAScore v2.0の性能は、この報告のFigure3に全て表れていると思います。
実際の臨床現場では、iDAScore とガードナー分類とを総合的に判断して移植胚を決定します。どのように評価基準を使用するかは、クリニック側の裁量に委ねられています。

文責:川井清考(院長)

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