iDAScore v1.0と胚培養士評価の正常胚を絡めた比較(J Clin Med. 2023)

iDAScore v1.0と胚培養士の評価どちらを優先したらいいのでしょうか?と質問をうけることがあります。私は、それぞれ補完しあうものだと感じていますが、当院の成績はGardner分類で成績を公表していることもあり、胚培養士の評価を優先することが多いとお伝えしています。
海外からの報告で、着床前診断の正常胚を絡めた報告をご紹介いたします。

ポイント

iDAScore v1.0は、胚培養士のガードナー分類含めた評価とほぼ同等でしたが、AIスコアリングの客観性が高さを考えると、並行して利用していくことが重要そうです。

論文紹介

Danilo Cimadomo, et al. J Clin Med. 2023 Feb 23;12(5):1806. doi: 10.3390/jcm12051806.

着床前診断(PGT-A)とiDAScore v1.0を比較検討したレトロスペクティブコホート研究です。体外受精1,232周期 3,604胚盤胞 808正常核型胚移植を解析しました。
結果:
体外受精をおこなった女性年齢は38.7±3.4歳でした。
iDAScore v1.0は胚の形態と有意に関連していましたが、euploidy(正常核型)および生児獲得のAUCは0.60および0.66であり、胚培養士のガードナー分類含めた評価とほぼ同等でした。
587周期の正常核型胚と異数性胚があるコホートでは、iDAScore v1.0が1番高い点数がつけた胚の63%が正常核型胚でした。胚培養士では、トップランクと選んだ胚の47%が正常核型胚、トップランク同スコアの場合は29%において、片方が正常核型胚、片方が異数性胚という結果となりました。

私見

この研究のサブ解析がとても面白い結果となっています。
iDAScoreのゴールは胎児心拍陽性率なので、異数性以外の胚質もとらえている可能性がありますので、当然といえば当然の結果かなと感じています。

正常胚を戻した場合、培養士トップ、iDAScoreトップ どちらが生産率に近づくかです。

  • iDAScoreトップ・培養士トップを戻した場合に分娩 52%
  • iDAScoreトップを戻したら生まれず、その後に分娩 3%
  • iDAScoreトップ(培養士はトップをつけず)を戻した場合に分娩 15%
  • iDAScoreトップがどうなったかわからない症例 29%

文責:川井清考(院長)

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