25歳以下は卵子の質は低下する?(J Assist Reprod Genet. 2019)

「卵子凍結は若ければ若い方が良いのでしょうか?」
過去の報告では、25歳未満では自己卵子を用いた体外受精成績が25歳以上と比べて低いという報告が複数あります。今回、ドナー女性の年齢が25歳未満だった場合はどうかを調査した報告をご紹介します。

≪ポイント≫

30歳未満のドナー女性では、25歳未満のドナー女性を生殖医療成績が優れているわけではないため、30歳未満女性に関しては卵子の質は若ければ若い方が良いわけではなさそうです。

≪論文紹介≫

Leigh A Humphries, et al.  J Assist Reprod Genet. 2019 Aug;36(8):1631-1637.  doi: 10.1007/s10815-019-01494-x.

卵子提供者の年齢が若いほど体外受精(IVF)後の予後が良好であるかどうかを調査したレトロスペクティブコホート研究です。
2002年1月から2017年10月にドナー卵子を用いて行った初回新鮮胚移植周期の生殖医療成績を調査しました。ドナー年齢(25歳未満、25~30歳、30~35歳)別に臨床妊娠および生児獲得率を調査しました。
結果:
25歳未満:269例(34.8%)、25~30歳:399例(51.6%)、30~35歳:106例(13.7%)でした。ドナー年齢中央値は26歳、レシピエント年齢中央値は42歳でした。レシピエント年齢で調整した後、25歳未満ドナーでは、25~30歳ドナーと比較して、臨床妊娠(RR 0.90;95%CI 0.77-1.06)または生児獲得(RR 0.87;95%CI 0.72-1.04)の高い発生率とは関連していませんでした。

≪私見≫

15,169件の胚盤胞生検の着床前検査でも、異数性は26歳以降に増加しましたが、23歳以下でも異数性率が高いことが報告されています。同じ卵巣刺激周期コホートでは26-37歳では、正常胚がないコホート割合は2-6%と最も低くなっています。
Jason M Franasiak, et al. Fertil Steril. 2014 Mar;101(3):656-663.e1.  doi: 10.1016/j.fertnstert.2013.11.004.

社会的卵子凍結を始める年齢を何歳にしようかと迷っていましたが、大学生に焦ってすすめるものでは、なさそうですね。

文責:川井清考(院長)

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