AI scoring systemは出生率まで予測する?(論文紹介)

タイムラプスのAI scoringどこまで参考にする?(iDAScoreの国内データ)と同一施設から、iDAscoreの妊娠率だけではなく出生率までフォローされた報告です。

≪ポイント≫

iDAScoreは胎児心拍を予測するだけではなく、流産率の減少、そして出生率の増加を予測するスコアリングするシステムです。

Satoshi Ueno, et al.J Assist Reprod Genet. 2022 Jul 26.  doi: 10.1007/s10815-022-02562-5.

2019年1月から2020年5月までに、単一生殖医療施設にて単一凍結融解胚盤胞移植を実施した3,010症例(1患者は1周期のみ)を対象としました。PGT症例は除外して検討しています。AI scoring systemはVitrolife Technology Hub(Vitrolife, Gothenburg, Sweden)のiDAScoreを用いています。出生率、妊娠1・2期流産を含む全流産との相関を解析しています。また、iDAScoreと新生児転帰の相関を分析しています。
結果 :
iDAScoreの低下とともに出生率は低下(P < 0.05)し、妊娠1・2期流産を含む全流産率については増加する傾向が認められました。多変量ロジスティック回帰分析により、iDAScoreは出生率の増加(調整オッズ比:1.811、95%CI:1.666-1.976、P<0.05)および妊娠1・2期流産を含む全流産率の減少(調整オッズ比:0.799、95%CI:0.706-0.905、P<0.05)と相関していることがわかりました。iDAScoreは先天性奇形、性別、妊娠期間、出生体重などの周産期結果との間の相関は認めませんでした。

≪私見≫

体外受精が保険適用になり、良好胚のみを移植胚とするという方向に進みがちです。
生命の選択を保険・自費の観点から行う危険性があり、さまざまな角度から胚を評価することが必要だと考えています。AI scoring systemは、その一助になると考えていますが、形態評価などと異なり、何をもってスコアリングされているかどうか不明であり、周産期予後ふくめて追跡することが必要であると考えられていました。当報告は、そちらにフォーカスしていますので、今まで以上に安心に患者様に情報提供できるようになったと考えています。

文責:川井清考(院長)

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