診療科・部門紹介 感染症内科(予防接種・旅行外来)

診療内容

▼感染症内科
▼予防接種・旅行外来

■感染症内科■
感染症とは?
「感染症」と聞くと、人から人にうつる「伝染病」のような、どことなく怖いイメージを抱かれるかも知れません。確かに、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスによる胃腸炎など、“うつる感染症”もありますが、“うつらない感染症”もあります。膀胱炎や虫垂炎(いわゆる盲腸)、化膿した傷などはうつりません。

私たちの身の回りには、細菌、真菌(かび)、ウイルス、寄生虫などの微生物がたくさん存在します。例えば腸の中には、兆の単位で細菌や真菌が住んでいます。彼らは普段は病気を起こすことなく、むしろ食べ物の消化吸収を手伝うなどして、人間と共存共栄しています。ところが、何かの拍子に腸を飛び出して、本来微生物がいないはずの別の臓器(肝臓、胆嚢、腎臓など)に侵入して、悪影響をおよぼすことがあります。すると人体は、これを追い出すために、様々な反応を起こします。これらの結果、熱が出たり、臓器にもよりますが、腫れや痛みのような症状が出ます。このようにして、微生物が原因となって起こる病気が「感染症」です。

感染症科とは?
「感染症科」は、”微生物が起こす病気”を専門に診療する、内科の一分野です。私たちは、患者さまの性別や年齢、問題が起こっている臓器、原因となっている微生物の種類にかかわらず、あらゆる感染症の専門家として、内科診療を行っています。亀田総合病院では、以下のような業務に携わっています。

感染症に関するコンサルテーション
どのような患者さまでも、入院中に感染症(肺炎、尿路感染症、カテーテル感染症など)が起こることがあります。特に元々他の病気で体力が落ちている患者さまでは、感染症が起こりやすかったり、重症化しやすかったり、抗菌薬が効きにくかったりと、治療が難しい場合があります。また「入院中に熱などの症状が出たけれども感染症かどうかよくわからない」ということもあります。そのような時、私たちは主治医の先生からご相談をいただき、隠れた感染症を見つけ出したり、適切な治療法を検討して、主治医の先生方と一緒に治療をさせていただきます。

血液培養陽性の患者さまの併診
「血液培養」というのは、血液の中に入り込んだ微生物を見つけ出す検査のことです。血液を採取して検査室で人工的に菌を増やす、培養という作業を行います。実際に微生物が見つかることを「血液培養陽性」といいます。

ある臓器に感染症を起こした微生物は、初めのうちはその臓器にとどまっていますが、やがてその臓器を飛び出して血液の流れに乗って全身に広がります(菌血症)。
すると微生物に対する体の反応も強くなり、高熱が出たり、寒気がして体がガタガタ震えたりします。さらに重症になると、意識がもうろうとしたり、血圧が下がってショック状態となり、様々な臓器に異常が出て、放っておくと命に関わります(敗血症)。

このような重症感染症の患者さまでは、血液培養が陽性になる場合が多くみられます。
そこで当院では、血液培養が陽性になった場合には、主治医の先生方の許可のもと、基本的に全ての患者さまを私たち感染症科が一緒に担当させていただく体制をとっています。そして患者さまひとりひとりの状況に合った、最適な治療を提案させていただきます。

耐性菌を増やさないために
近年、普通の抗菌薬が効かない「耐性菌」が問題になっています。感染症の治療には菌を殺す抗菌薬が必要ですが、抗菌薬を使えば使うほど、耐性菌が増加することが知られています。耐性菌が感染症を起こすと、有効な抗菌薬が少ないために治療が難しくなります。

耐性菌の発生を抑えるためには、「熱があるからとりあえず」といった安易な抗菌薬の投与をやめる、血液培養のような微生物検査をしっかり行ってから抗菌薬を投与する、最後の切り札として使う抗菌薬はできるだけ使わない、といった適正な抗菌薬使用がすすめられています。私たちはこのような視点に立って、感染症の治療を行っています。


専門性の高い感染症の診療
HIV感染症や結核など、より高度な専門知識・判断が求められる感染症に関しては、私たちが直接主治医となって、診療に当たっています。

感染予防の取り組み
感染症にかかった患者さまをひとりひとり診察するだけでなく、病院全体を見渡して、感染症が起こりにくい環境を整えるのも私たち感染症科の仕事のひとつです。地域感染症疫学・予防センターと連携して、職員の手指衛生を徹底したり、冬にはインフルエンザが院内で流行しないよう対策を練ったり、ICT(Infection Control Team)の一員として様々な活動を行っています。

全力で感染症診療に当たらせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
■予防接種・旅行外来■
今日では様々な年代や疾患を抱えた人も海外旅行をするようになりました。渡航地域も都市部だけでなく、ジャングル、高地、砂漠地域への旅行も手軽にできる時代となり、旅行に特有な健康問題も増加しています。

海外渡航中だけでなく渡航後の発熱にも要注意!-海外渡航中/渡航後感染症-
海外渡航することで日本では存在しない病気にかかることがあります。例えば蚊に刺されることによって感染するマラリアやデング熱です。それらはアフリカ、東南アジア、中南米などの熱帯地域で流行している感染症で、短期間の渡航者でも感染することがあります。日本に帰国した後に症状が出て国内の医療機関を受診するケースも増えています。国内ではそのような感染症に慣れていない医療施設も多く、診断が遅れることがあります。また、渡航者の感染症に対する知識不足から受診が遅れ、重症化することもあります。

海外渡航前に予防できる病気がある!
海外渡航時にかかる感染症の中にはワクチンで予防できるものも多くあります。例えば、狂犬病という病気をご存知でしょうか?犬やその他のほ乳類との接触(主に咬まれること)で感染し死亡率の高い(発症すれば、ほぼ100%の致死率)ウイルスによる感染症ですが、国内での感染は1957年以降の報告がなかったためご存じない方も多いかもしれません。しかし、2006年にはフィリピンから帰国後に発症した症例があり、インドでは年間2万人の死亡者が出ていますが、これもワクチンによって防ぐことのできる病気です。渡航先や渡航形態に合わせて必要なワクチンを見極め、副作用や効果について理解してもらうことも私たちの仕事です。ワクチンでは予防できないマラリアも重症化すると命に関わる病気ですが、流行地渡航前から流行地を離れての一定期間に薬を飲んでおく予防内服という手段があります。また、マラリアやデング熱など蚊が媒介する感染症に対しては、蚊に刺されないようにする対策も大事です。

当院で接種可能なワクチンについては「当院で接種可能なワクチンについて」をご覧下さい。

まさか、わたしが高山病!
高山病は登山者の病気と考えられていましたが、交通機関の進歩により簡単に、そして短時間で高地に到達できるようになりました。高山病になって初めて、渡航目的地が高地と知ることもあるようです。ペルーのクスコ、ボリビアの首都ラパスなどは日本からの旅行者にも人気がありますが、標高は富士山と同じくらいの3000mから、それを超えるような高地もあります。多くの旅行者が頭痛、倦怠感などの高山病症状を自覚していますので、予防薬の内服とゆとりのある渡航スケジュールをおすすめしています。

持病があっても海外旅行!
高血圧症や糖尿病などの持病のある方が海外渡航をする場合もありますが、まず渡航が可能な健康状態であるかの評価を受けることが大切です。また、海外渡航時に出会うことの多いトラブル(時差に対するインスリンや経口血糖降下薬などの糖尿病薬剤調節など)について事前に学んでおくことも、快適な旅をするには欠かせません。

より安全で楽しい海外渡航のためにできることがあります
上記のような渡航に関連する健康問題に対応する医学専門領域として旅行医学があります。旅行医学に内科慢性疾患の知識は不可欠です。さらに渡航後に発熱を生じた場合、それが渡航に関連したものかを判断するためにも全般的な内科知識、特に感染症に関する広い知識が要求されます。当クリニックでは幅広い内科学の知識を兼ね備えた感染症学、旅行医学の専門家が診療にあたっております。

より安全で楽しい海外渡航のためにできることがあります。どうぞお気軽にご相談ください。
 

感染症内科を担う人材の養成を目的に、イベント、学術、臨床研修教育などや日常の出来事を含め発信しています。
Kameda ID fellowship Program

■感染症内科 FaceBook■
 
 

診療関連トピックス

対象疾患

▼感染症科
▼予防接種・旅行外来
当院で接種可能なワクチンについて

■感染症科■
<主治医の先生方と協力して取り扱う疾患>
菌血症、敗血症、髄膜炎、脳膿瘍、脳炎、硬膜外膿瘍、咽頭炎、扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、悪性外耳道炎、眼内炎、肺炎、肺化膿症、
膿胸、感染性心内膜炎、縦隔炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、感染性腸炎、クロストリジウム・ディフィシル腸炎、憩室炎、
虫垂炎、腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、骨盤内炎症性疾患、化膿性椎体炎、化膿性関節炎、骨髄炎、筋膿瘍、蜂窩織炎、
壊死性筋膜炎、リンパ節炎、褥瘡感染、術後創感染、カテーテル関連血流感染症、血栓性静脈炎、発熱性好中球減少症、結核、梅毒、破傷風、ノカルジア症、インフルエンザウイルス感染症、麻疹、風疹、水痘、帯状疱疹、サイトメガロウイルス感染症、
EBウイルス感染症など

<感染症科が主治医となって取り扱う疾患>
結核、HIV感染症、AIDS、マラリア、デング熱など
 
■予防接種・旅行外来■
渡航相談 渡航前の健康診断 渡航後の症状
・予防接種
・マラリア予防
・デング熱予防
・小児、妊婦、高齢者の相談
・持病がある方の相談
・英文健康診断書
・抗体価証明書
・予防接種証明書
・発熱
・下痢
・その他

渡航相談
<予防接種>
渡航する地域や渡航スタイルによって注意するべき現地の病気があります。地域に特徴的な病気は感染症が主で、それらの中にはワクチンを接種することで予防できるものがあります。具体的なワクチンの種類や接種回数については別表のとおりです。中には複数回接種が必要なものもあります。また以前にワクチンを接種していても追加接種が望ましい場合もあります。どのようなワクチンを接種したらよいかを個々に相談し接種するのがワクチン外来です。ワクチンによっては接種完了までに半年かかるものもあるので、渡航前に数ヶ月の余裕を持って受診して頂くことが理想的です。(直前であってもいくつか予防措置のとれるものもあります。)

また海外渡航にかかわらず、国内で生活する分にも必要な予防接種が済んでいるか確認するよい機会です。母子手帳(母子健康手帳)などの予防接種記録があれば、その確認がスムーズになるため、受診時に持参されることをおすすめします。 まずはご相談ください。
 
当外来で推奨されることの多いワクチン
ワクチン種類 回数 必要な期間
A型肝炎 3回 6ヶ月
B型肝炎 3回 6ヶ月
狂犬病 3回 6ヶ月
破傷風 3回 6ヶ月
日本脳炎 3回 1年
黄熱 1回
腸チフス 1回
髄膜炎菌 1回
麻疹 2回 1ヶ月
風疹 2回 1ヶ月
水痘 2回 1ヶ月
ムンプス(おたふく) 2回 1ヶ月

これは初めて接種する場合の標準的なスケジュールです。過去に接種していれば、より少ない回数・短い期間で済むこともあります。また輸入ワクチンを用いることでより短期間で完了することもあります。

現在接種可能なワクチンについては「当院で接種可能なワクチンについて」をご覧下さい。
 

<マラリア予防・デング熱予防>
ワクチンで予防できない感染症に対しての対策をお伝えすることも私たちの専門分野です。例えばマラリアにについては、これから渡航する地域、スケジュール、費用も含めて予防内服の必要性を検討し、その処方を行います。熱帯地域にはマラリアやデング熱など蚊が媒介して起こす感染症が多いため、蚊の対策(虫さされ予防)もお伝えしています。
 

<小児、妊婦、高齢者、持病がある方の相談>
小児、妊婦、高齢者、持病がある方の海外渡航には特別に注意を要する場合もあるので、旅行医学の専門外来受診をおすすめします。妊婦に関しては週数によって飛行機への搭乗を断られる場合があります。妊娠中は使用できないワクチンや予防内服薬もあるため、特別な対応が必要なことがあります。高齢者のなかには持病を抱えて定期的に薬を内服している方もいらっしゃいます。海外渡航が可能かどうか、もともとのご病気の状態を評価するとともに、海外渡航に伴い持病に関連して起こりやすいトラブルなどについての対策もお伝えします。

渡航後の症状
渡航後に体調を崩した場合は、渡航後の発熱や下痢などの症状に詳しい旅行医学の専門家に相談されることをおすすめします。渡航先によって特殊な感染症があり、日本国内の医療機関ではそれらの病気に対する経験が乏しいため、診断が遅れたり、適切な治療が行えない場合があります。渡航に関連した感染症は概ね3ヶ月以内に症状が出ますが、3ヶ月以上経過していても渡航と症状の関連が心配な場合にも是非ご相談ください。

 
渡航後に注意が必要な感染症
・マラリア
・デング熱
・レプトスピラ症
・リケッチア感染症
・腸チフス
・寄生虫

診療実績

外来延べ患者数 11,995名
入院延べ患者数 1,902名
(2023年度実績)


渡航外来・発熱外来の患者数       
予約名 2021年度 2022年度 2023年度
ワクチン・渡航相談外来 45件 70件 74件
発熱外来     3,485件
感染症科 患者数             
予約名 2020年度 2021年度 2022年度
発熱外来延べ患者数(一般受診) 2,363 4,518 8,036
うち延べPCR実施数 1,806 3,879 6,387
延べ住民接種人数 32,966
※2022年度の終わり頃からは、PCR検査にとって代わり抗原検査の割合がが多くなっています。

(2023年度実績)
 

 

担当医表

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