帝王切開既往女性で体外受精成績が低下するパターン(Fertil Steril. 2024)

帝王切開既往は体外受精成績悪化と関連することが、これまでのレビューで報告されています。現在までのところ、体外受精成績低下が、帝王切開そのものに起因するのか、あるいはisthmoceleに起因するのかは、明らかにされていません。
システマティックレビュー・メタアナリシスをご紹介します。

≪ポイント≫

帝王切開既往女性の体外受精成績が落ちるのは、isthmoceleがあること、子宮内腔液貯留があることが理由だとわかりました。

≪論文紹介≫

Amerigo Vitagliano,, et al. Fertil Steril. 2024 Feb;121(2):299-313. doi: 10.1016/j.fertnstert.2023.11.007

体外受精成績に影響を及ぼす帝王切開・isthmoceleの影響を調査するため、電子データベースおよび臨床レジストリを2023年5月30日まで検索しました。
体外受精成績に影響を及ぼす帝王切開・isthmoceleの影響を評価した観察研究を対象としました。比較対象は、isthmoceleのある女性とisthmoceleのない女性(既往帝王切開または既往経膣分娩女性)としました。研究の質は修正Newcastle-Ottawa Scaleを用いて評価しました。
主要評価項目は出生率として効果指標は、95%CIを伴う調整オッズ比および未調整オッズ比として表しました。
結果:
8研究( 10,873名)が解析に含まれました。isthmoceleのある女性は、isthmoceleのない既往帝王切開C女性(aOR、0.62;95%CI、0.53-0.72)および経腟分娩既往女性(aOR、0.55;95%CI、0.42-0.71)よりも出生率が低くなりました。isthmoceleがない既往帝王切開女性と経腟分娩既往女性における女性は同程度でした(aOR、0.74;95%CI、0.47-1.15)。サブグループ解析では、isthmoceleのある女性では子宮内腔液貯留が出生率に負の影響を与えていました(uOR、0.36;95%CI、0.18-0.75)が、子宮内腔液貯留のない女性はisthmoceleのない女性の出生率は同程度でした(uOR、0.94;95%CI、0.61-1.45)。

≪私見≫

IstmoceleとIsthmocele両方記載があるのですが、どっちが多いんでしょう。
Google scholarでみると圧倒的にisthmoceleですね。

帝王切開既往は子宮内腔液がたまっていなければ凍結融解胚移植成績に影響を与えない(論文紹介)
帝王切開既往女性の臨床症状(Reprod Biomed Online. 2023)
帝王切開は胚移植の結果に影響を与えるの?(論文紹介)
帝王切開部の凹みは生殖医療成績に影響する(論文紹介)
帝王切開後のlarge nicheは子宮内膜厚に影響を与えない(前向きコホート.2023)

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文責:川井清考(院長)

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