人間ドックの方 膵臓ドックについて

膵臓ドックは画像検査である腹部超音波検査(飲水法) と非造影MR検査、造影CT検査を組みあわせて膵臓を重点的に観察するために行います。目的は、膵がんが発生しやすい「兆候」を拾い上げることです。膵がんの早期発見は現代医学でも非常に難しいのが現実であり、その点について十分ご理解をいただいた上でお受けいただくために、ここに説明をいたします。

膵がんは病気の経過が極めて悪い疾患であり、2021年に我が国で発表された10年生存率は6.5%で、診断を受けた大半の方が亡くなっています(国立がん研究センター発表)。
これは膵がんの早期発見が非常に難しく、発見された時には非常に進行した状態である事を意味しています。人間ドックでの早期発見が期待されるところではありますが、膵臓ドックで早期発見ができる科学的根拠はなく、逆に害が生じる可能性を考えて膵臓ドックは推奨しないという考えもあります(米国予防医学専門委員会2019年)。害というのは症状を起こさないものを発見して検査や治療を受けたりすることなどを指します。

しかし、日本においてがんによる死亡原因の第4位である膵がんの現状をみますと(国立がん研究センター発表2019年統計)、少しでも人間ドックを早期発見につなげる助けとしたいと考え、膵臓ドックを開始することといたしました。検査内容は、腹部超音波検査(飲水法)と非造影MR検査を行うコースと、さらに造影 CT検査を組合せたコースを用意しました。腹部超音波(飲水法)は、胃内に液体を貯留させることにより通常の超音波よりも膵臓を入念に描出いたします。 MR検査は、膵がんの発生しやすい兆候となりえる膵管拡張や膵のう胞を発見することや、膵がんからの間接的な異常を発見するのに役立つと考えられます。膵管拡張や膵のう胞がある方を発見し、その後に重点的に経過観察することで、膵がんの早期発見につなげるのも大きな役割となります。造影CTは、造影剤注射をし膵臓をできるだけ細かく描出し、 MR検査や超音波検査で分からないような膵臓病変を確認する助けとします。

画像の確認は、膵臓や胆道系臓器に関して放射線科医師と膵胆を専門とする消化器内科医師の二重チェックを行い、質の高い診断を行います。ただし、このように入念な検査・画像診断を行っても、全ての膵がんを発見できるわけではなく、次回に検査を行ったときに手術不能な進行がんが発見される可能性はあります。一方、早期膵がんを調査した研究会のデータでは、これらの検査で間接的な異常も含めると約8割で何らかの異常が指摘されており早期発見につながることが期待されております(膵がん早期診断研究会報告.医学雑誌Pancreatology 2018;18:P61)。しかし、この調査は膵がんと診断された方を集めた分析であり、実際の膵臓ドックではどのくらい発見可能かは分かっておりません。おそらく発見精度はより低くなると考えられ、5割程度もしくはそれ以下でしか膵がんが発見できないという可能性もあります。

当院では上記のような限界も十分承知しておりますが、何も対策を行わないより膵がんが発生しやすい「兆候」を拾いあげることで、10%でも20%でも膵がんの生存率改善につなげることができればと考え、膵臓ドックを開始する事といたしました。ご興味のある方は是非ご検討ください。

なお、検査の副作用回避のため、受けられない方もおられます。例えば、造影CTは、造影剤アレルギーのある方、喘息、腎障害など持病がある方、妊娠・授乳中の方は受けられません。また75歳以上の方も造影剤の負担回避のため造影CTはお受けしておりません。

料金 膵臓ドック(飲水超音波+MR):¥35,200(税込)
膵臓ドック(飲水超音波+MR+造影CT):¥88,000(税込)

両コースのMR・造影CTは通常ドックとは別日に行いますので、もう一日受診が必要です。
日帰りドックのみ対象のオプション検査です。

膵臓ドックで行う検査の画像

  • 膵臓ドック(飲水超音波+MR)は、①腹部超音波(飲水法)と ②非造影MR検査を行います。
  • 膵臓ドック(飲水超音波+MR+造影CT)は、③造影CTも行います。こちらの方がより精度が高い検査となります。

①腹部超音波検査(飲水法)

飲水することで胃の背側にある膵臓の観察をしやすくし、通常の超音波検査よりも入念に膵臓を観察します。

②非造影MR検査(MRCP: 磁気共鳴胆道膵管造影、MRI: 磁気共鳴画像)

強力な磁場と電波を用いて体内の水素原子の情報を収集し、それをもとに画像化する検査です。MRCPは膵管(膵液の通り道)や胆のう・胆管(胆汁の通り道)の評価を目的とする検査です。一方、MRIは膵臓自体を断層画像として描出します。

③造影CT検査

断層像が確認できるX線検査であるCT検査を、詳細が分かるように造影剤を注射して行います。この造影CT検査は精密検査のときと同様の方法で行います。腹部超音波検査やMR検査で指摘できない病変を確認する助けとなります。

亀田クリニックの他、亀田総合病院附属幕張クリニック(千葉市美浜区)、亀田京橋クリニック(東京都中央区)でもそれぞれの特性を生かしたコースをご用意しております。お住まいやお勤め先などのロケーションに応じて、お近くの亀田グループの人間ドック施設をお選びください。

  • 各施設ごとに検査内容や流れが異なる為、詳細については各施設に直接お問合わせください。なお本ページに記載した内容は鴨川亀田クリニックのものです。
各種治療・検査について へ戻る
ページトップに戻る