人間ドックの方 冠動脈造影CT・網膜黄斑断層検査・乳房トモシンセシスについて

医学は日々進歩しており、オーソドックスな検査に加え新しい検査が次々に登場してきます。ここでは当院人間ドックに2019年から導入された検査を紹介いたします。

冠動脈造影CT検査

新規に導入された320列最新型CT装置を用いて、心臓に酸素と栄養を送る冠動脈という血管の形態を調べる検査です。本検査は循環器内科で胸痛の精密検査として本来使用されている検査ですが、基本的に無症状である人間ドックの場合にどのくらいの有用性があるかはまだ分かっておりません。しかし通常の人間ドックだけではこの重要な心臓の血管自体を評価できず、心筋梗塞といった命に関わる重大疾患を未然に防ぐ上で本検査が持つ可能性に大きな期待を寄せ、導入をいたしました。これにより、今までは心臓カテーテルという体に負担のかかる検査でしか評価できなかった冠動脈の狭窄や閉塞を評価する事ができ、心筋梗塞や狭心症の予防につながることが期待されます。

心筋梗塞は日本人の死因の多くに関与しておりますので、その対策は大切と考えられます。生活習慣病(高LDLコレステロール、糖尿病)がある方、喫煙者の方、ご両親やご兄弟に心筋梗塞や狭心症がある方に特にお勧めの検査です。尚、気になる胸痛など自覚症状がある方は、人間ドックではなく循環器内科の外来をご受診ください。また既に心臓病をお持ちの方が希望される場合は、主治医のもとで検査を受けてよいかについてご相談ください。
上記のように期待のされている検査ではありますが、CTの造影剤を使用しますのでドックの中では負担が強めの検査になり、副作用と有用性のバランスをよく考えて施行する必要があります。よって副作用を避けるため、以下の方についてはご予約をお受けしておりません:75歳以上の方、腎機能低下、喘息がある方、妊娠中、造影剤やヨードのアレルギーがある方、除細動器の植え込みがある方。また来院後に行う血液検査で推定腎機能値(eGFR)が55未満の場合は、負担を避けるため検査をお受けしておりません。この他のご病気をお持ちの方でも、検査が行えない場合が稀にございますので予めご了承下さい。(ドック診察時に医師が判断をいたします)

CTで明瞭に心臓の重要血管である冠動脈がうつしだされています。

網膜黄斑断層検査

この検査は、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)を使った黄斑の検査であり、細かく網膜の層状構造を観察する事ができます。特に発見の目標とするのは、日本の失明原因の上位に位置し患者数も増加している加齢黄斑変性という疾患です。この疾患は50歳以上の1%近くにみられ、高齢になるほど多くみられます。本検査は詳細に黄斑を観察できるため従来の眼底検査より黄斑疾患を早期に発見する事が可能と考えられ、進行の予防や治療につなげる事が期待できます。以下は加齢黄斑変性の危険因子と考えられているものですので、いずれかに該当する方は特にお勧めいたします。
中高年・喫煙者・白内障手術歴あり・加齢黄斑変性の家族歴あり・男性・高血圧あり・肥満あり・心筋梗塞や狭心症歴ありの方・紫外線(日光)の曝露が多い方・パソコンや携帯電話の画面から発せられるブルーライトの曝露が多い方。
なお、緑内障については網膜黄斑断層検査では発見目標の対象外となります。

網膜黄斑断層検査の画像:黄斑部の詳細な断層像を確認する事が可能で、早期発見につながります。
通常の眼底検査:緑の丸が黄斑部。平面の写真による小さな範囲の診断になります。

乳房トモシンセシス検査

多方向から乳房のレントゲンを断層撮影(トモグラフィー)し、それを合成(シンセシス)することによって断層画像が得られ、立体的に評価ができる検査です。マンモグラフィのように、乳房を圧迫して行います。マンモグラフィはひとつの写真に乳腺組織が重なって映し出されますが、トモシンセシスは多断層の写真であるため重なりが少なく、病変が評価しやすくなります。当センターにおいては、マンモグラフィと乳房超音波検査の併用を優先して行っておりますので、さらに高精度の検査をご希望の場合はトモシンセシスを上乗せして追加する事をご検討ください。

亀田クリニックの他、亀田総合病院附属幕張クリニック(千葉市美浜区)、亀田京橋クリニック(東京都中央区)でもそれぞれの特性を生かしたコースをご用意しております。お住まいやお勤め先などのロケーションに応じて、お近くの亀田グループの人間ドック施設をお選びください。

  • 各施設ごとに検査内容や流れが異なる為、詳細については各施設に直接お問合わせください。なお本ページに記載した内容は鴨川亀田クリニックのものです。
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