体外受精の回収卵子数は新鮮胚移植、その後の累積出生率と関係するの(F&S Reviews 2023)

採卵時の適切な回収卵子数をどのように設定し卵巣刺激法を選択するかは、最初の体外受精治療計画を立てる際には重要な因子になってきます。新鮮胚移植もイメージした上で、出生率を高める回収卵子数はいくつなんでしょう?2023年のメタアナリシスをご紹介いたします。

≪ポイント≫

新鮮胚移植の生児獲得率では回収卵子数15個でプラトーに達し、20-25個で低下していました。
体外受精1周期の累積生児獲得率では回収卵子数10-15個で変曲点があり、15個を超えても増加し続けました。

≪論文紹介≫

Nathalie Sermondade, et al. F&S Reviews 2023 DOI: 10.1016/j.xfnr.2023.03.002

体外受精による回収卵子数と新鮮胚移植後の生児獲得率および累積生児獲得率の関係を明らかにするために、2004年1月から2021年3月までに発表された報告のシステマティックレビュー・メタアナリシスです。
結果:
1090件の報告から45件の報告が定量的に評価可能と判断しました。回収卵子数と生児獲得率/累積生児獲得率を評価するメタアナリシスは、それぞれ22件/21件でした。生児獲得率については、ほとんどの研究が、加重平均13.5回収卵子にてプラトーまたはピークを報告しており、プールされた用量-結果では、15回収卵子を超えるとプラトーもしくは非線形に低下する傾向がありました。回収卵子数と累積生児獲得率のメタアナリシスでは、非線形の関係が認められ、回収卵子数が増えるほど累積生児獲得率が増加しました。

≪私見≫

新鮮胚移植を念頭とした刺激を考えなければ、①OHSSにならないことが最重要、②回収卵子数が増えることで卵子の質は低下しないこと、③家庭・仕事との兼ね合い、これらを満たすのであれば一つでも回収卵子数が多い方がよさそうですね。

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文責:川井清考(院長)

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