日本人女性の年齢とAMHレベルの相関(論文紹介)

女性の卵巣予備能はAMHレベルと相関することが知られています。
以前は、血清AMH濃度は月経周期を通じて大きく変化しないと考えられていましたが、最近では、卵胞期、排卵期、黄体期におけるAMH値が少し変動することも報告されています。この報告は日本人女性で卵胞期に日本で普及している測定機器を用いて行ったデータです。皆さんにさんこうになればと思いご紹介させていただきます。

Tomoya Segawa, et al. BMC Womens Health. 2019. DOI: 10.1186/s12905-019-0752-z
東京の2つの体外受精施設において2015年12月から2017年11月までにAccessで血清AMH値を測定した日本人患者5,483人を対象としています。各患者は、本調査に1回のみ参加した28歳から48歳までの女性で年齢別に平均値、中央値、標準偏差値を求めました。
AMH平均値および中央値は、女性年齢が上がるにつれて減少しました(平均値:R2=0.9864、中央値:R2=0.9926)。すべての年齢層で,平均値は中央値より高くなりましたが,両者の差は年齢が高くなるにつれて小さくなりました。

Tomoya Segawa, et al. BMC Womens Health. 2019. DOI: 10.1186/s12905-019-0752-z

女性年齢 症例数 平均値 中央値 標準偏差
28 30 5.4 4.5 4.3
29 54 4.6 4.4 2.7
30 71 5.3 3.9 4.6
31 125 4.5 3.7 3.6
32 187 4.7 3.8 4.8
33 201 4.3 3.5 3.3
34 254 3.7 3 2.9
35 313 3.4 2.8 2.8
36 375 3.4 2.8 3
37 416 3 2.4 2.8
38 498 2.7 1.9 2.5
39 542 2.4 1.8 2.1
40 485 1.9 1.4 1.8
41 554 1.6 1.2 1.4
42 478 1.5 1 1.5
43 384 1.3 0.9 1.4
44 236 1.1 0.8 1.2
45 132 0.8 0.4 0.9
46 73 0.6 0.5 0.7
47 46 0.6 0.5 0.6
48 29 0.6 0.2 1.1

≪私見≫

当院データでも同様の印象です(過去のブログ:AMH(卵巣予備能検査:アンチミュラー管ホルモン)の解析結果(亀田 生殖医療事業管理部まとめ2021))。
AMH 値が人種、喫煙、経口避妊薬の使用、BMI によって異なることを示唆する報告もできていますので注視していく必要があります。

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文責:川井清考(院長)

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