書籍紹介「スキルアップ ARTラボ 生殖補助医療の必須知識とテクニック(柴原浩章先生編者;中外医学社;2022年4月発行)」

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2022年4月に中外医学社より「スキルアップ ARTラボ 生殖補助医療の必須知識とテクニック(編者:柴原浩章先生)」が発行されました。

中外医学社のホームページ(上記URL)より、以下に書籍詳細を引用致します。
「晩婚化や初産年齢の高齢化に伴い,生殖補助医療の需要は年々高まっている.同時に,ARTに欠かせない胚培養士への期待値も上がり,全体的な技術の底上げが不可欠である.そんな現状を踏まえ,本書では基本知識のみならず,今まさに現場で活躍しているエキスパートから「ぜひ伝えたい」という秘伝の技の数々を集めた.ARTの世界に携わる医療者にとって,基礎を再確認し,さらなるステップアップをはかるには最適な1冊と言える.」

この本は二章から構成されています。
第一章【生殖補助医療(ART)の必須知識】
第二章【ラボテクニックの伝承】

今回、光栄にも第二章【ラボテクニックの伝承】の中で三つの技術について執筆する機会を与えて頂きました。

❸ICSI_【2.ICSIのコツ】
この章では卵子の中に精子を注入する卵細胞質内精子注入法(Intracytoplasmic sperm injection; ICSI)において、生存率および受精率を上げるためのコツを紹介致しました。

❼着床障害の対策_【1.アシステッドハッチングのコツ】
受精卵はゼリー状の殻(これは透明帯と呼ばれています)に全面を覆われています。受精卵が子宮内膜に着床(=妊娠)するため、受精卵はこの殻を自ら突き破って外に出なければなりません。これは孵化(ハッチング)と呼ばれています。孵化出来なければ受精卵は殻の中で萎んでしまい、絶対に妊娠しません。一般的に、受精卵の凍結・解凍をすると透明帯は硬くなり、受精卵は殻を自ら突き破ることができず、これが原因で妊娠率は下がると言われています。この章では透明帯に人工的に穴を開けることで孵化(ハッチング)を補助(アシスト)するアシステッドハッチングのコツを紹介致しました。

❽凍結_【4.胚盤胞凍結のコツ】
受精卵は着床前に膨らんだ水風船のような姿に成長します。この状態の受精卵を胚盤胞と呼びます。胚盤胞を凍結する際、-196℃の液体窒素の中に入れる時、水風船の中に溜まっている水が氷ると、胚盤胞内部に氷の結晶ができて胚盤胞は内側から破壊されます。この章では胚盤胞凍結をする際、胚盤胞内部に氷の結晶をできにくくすることで解凍後の生存率を上げるコツを紹介致しました。

自分が紹介させて頂いたコツが少しでも皆様方のお役に立てることを切に願うと同時に、これから他の方達が書かれたコツを読むのがとても楽しみな1冊です。

文責:平岡謙一郎(培養室長)

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