人工授精へのステップアップ、妊娠率③(亀田IVFクリニック幕張 開設-2020年11月現在)

人工授精の妊娠率を1%でも上昇させる取り組みをご紹介します。
当院はモニタリングシステムの導入により体外受精の成績は安定した成績を維持しておりましたが、一般不妊治療でも同じ取り組みで改善させることができないかと検討致しました。注目したのは以下の3点です。
①精子の持参・院内の妊娠率
②精液所見による妊娠率
③卵胞サイズによる妊娠率
過去のブログにも記載しましたが、①院内・持参では差がなく、②総運動精子数 200万以下では当院では妊娠例が2016年以降なく(鴨川では以前あり)、③卵胞サイズが18mm以上もしくは排卵直後が妊娠率の増加傾向となりました。
人工授精は自宅採精/院内採精?(当院のデータをふまえて)(2020年7月13日)
人工授精の振り返り(2020年5月現在) (2020年6月9日)
排卵後の人工授精は意味があるの?(当院の成績) (2020年6月6日)
精液所見からみた人工授精の成績(当院の成績) (2020年6月2日)

これらのことから、2020年5月以降は、卵胞サイズは基本18mm以上で、総運動精子数が200万以上を大前提とし、満たさない場合は個別相談としました。
これを変えただけで成績が下記のように変化しています。

現在のところ、些細な取り組みですが、妊娠率改善に功を奏したのでは?と思っています。今後、トリガー時間や黄体補充の改善も検討しています。
母集団によって成績は変化します。人工授精は妊娠率7-10%程度の治療ではありますが、されど人工授精、一人でも体外受精に進まない妊娠達成を目標に成績向上に努めたいと思っています。

ちなみに当院受診患者の10000人以上の総運動精子数の割合です。
当院のデータでは総運動精子が2000万をきると妊娠率が低下します。そう考えると男性因子が35%と一般で指摘されている割合と一致します。

文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

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