精液所見からみた人工授精の成績(当院の成績)

自然妊娠可能な精液の総運動精子数は900-1500万個と言われています。人工授精が有効なのは調整前の原精液で1000万個以上、もしくは500万個以上の場合は運動率が30%以上とされています。また人工授精の投与全運動精子数(処理後の総運動精子数)と妊娠率も関係するという論文も数多くあり、調整後の投与全運動精子数で50万個では人工授精で妊娠することは難しいとされています。
私たちもデータを出してみました。このデータは女性年齢を39歳以下とし、亀田総合病院と亀田IVFクリニック幕張の2施設で調整前・後の総運動精子数で妊娠率を比較したもので、2016年以降の3000例以上の症例での成績です。こう見ると調整前では200万以下で妊娠例がなく、調整後運動精子数では成績が落ちるラインが見つかりませんでした。これらの結果から当院では調整前総運動精子数200万以下で人工授精を行うかどうかをお話しするようにしています。一般論を学ぶことも大事ですが、やはり自分たちの成績をお話しできることが患者さまにとって納得がいくのではと思っています。



文責:川井(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。