High responderに対してPPOS法?GnRHアンタゴニスト法?(Fertil Steril. 2024)

High responderに対しては、全胚凍結を前提に治療にあたることが多いため、normal / poor responderよりもPPOS法が有用である可能性が高いと判断されます。 High responderが予想される女性に対してPPOS法とGnRHアンタゴニスト法を比較検討したランダム化比較試験をご紹介いたします。

≪ポイント≫

High responderを予想される女性に対してPPOS法/GnRHアンタゴニスト法は同等の成績であることがわかりました。

≪論文紹介≫

Zhi Qin Chen, et al.  Fertil Steril. 2024 Jan 23:S0015-0282(24)00030-X.  doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.01.027.

初回体外受精周期(43歳未満)、AFC>15である女性を対象としたランダム化比較試験です。初回凍結融解胚移植あたりの生児出生率を評価対象. PCOS群(n = 392)とGnRHアンタゴニスト群(n = 392)で比較検討したランダム化比較試験です。
PPOS群では、排卵抑制にMPA10mgもしくはジドロゲステロン20mgを卵巣刺激開始から排卵誘発日まで毎日投与しました。GnRHアンタゴニスト群ではアンタゴニスト製剤を刺激開始後6日目からfixed法にて開始しました。女性および医師に対する盲検化は不可能でしたが、統計解析を実施した人は盲検化を行いました。主要評価項目は初回凍結融解胚移植周期の生児出生率としました。
結果:
2020年6月と2021年10月に784名を募集し、1:1の割合で無作為に2群に割り付けました: PPOS群(n = 392)とアンタゴニスト群(n = 392)。PPOS群62例(62/392例、15.8%)、アンタゴニスト群65例(65/392例、16.6%)において、移植可能胚がなかったか、無作為化後6ヵ月以内に凍結融解胚移植が行われませんでした。両群は、患者背景・回収卵子数または受精卵数、分割胚数、3日目の良質胚数、胚盤胞到達数、分割胚または胚盤胞の凍結数において同じでした。intention-to-treat解析(37.5%[147/392] vs. 32.7%[128/392]、RR 1.148[95%CI、0.949-1.390])およびper-protocol解析(44.5%[147/330] vs. 39.1%[128/327]、RR1.138[95%CI、0.950-1.364])ともに初回凍結融解胚移植周期の生児出生率に差はありませんでした。両群とも臨床的妊娠率、妊娠継続率、流産率、多胎妊娠率、子宮外妊娠率、累積生児出生率も同じでした。

≪私見≫

GnRHアゴニスト法とGnRHアンタゴニスト法の優劣の試験が行われた時期から、GnRHアンタゴニスト法とPPOS法の優劣を比較する時期に入っていますね。個人的には卵胞発育が予測しやすい方を選択していくことが臨床上のtipsだと思っています。

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文責:川井清考(院長)

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