排卵周期/ホルモン補充周期凍結単一胚盤胞移植の成績(レトロスペクティブコホート.2023)

凍結融解胚移植はホルモン補充周期から修正排卵周期が徐々に増加する風潮となっています。ひとつは周産期予後の観点、もう一つは薬剤投与を減らせる観点からです。排卵周期/ホルモン補充周期凍結単一胚盤胞移植の成績を比較した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

修正排卵周期とホルモン補充周期の凍結単一胚盤胞移植の成績は基本変わりませんが、経腟プロゲステロン単独でのホルモン補充周期凍結融解胚移植はやや成績の低下を認めるようです。

≪論文紹介≫

Elizabeth L Wolfe, et al. Fertil Steril. 2023 Feb 18;S0015-0282(23)00148-6. doi: 10.1016/j.fertnstert.2023.02.020.

2014年1月から2019年12月に凍結単一胚盤胞移植を受けた女性9,092人(15,034周期)をレビューし、4,532人(修正排卵周期1,186周期、ホルモン補充周期5,496周期)の生児獲得率を比較検討したレトロスペクティブコホート研究です。
結果:
プロゲステロン筋注単独、プロゲステロン経膣投与+筋注併用のホルモン補充周期凍結単一胚盤胞移植群では、修正排卵周期群と比較し生児獲得率に差は認めませんでした[aRR 0.94 (0.85-1.04)] および [0.91 (0.82-1.02)].プロゲステロン経膣投与単独のホルモン補充周期群は修正排卵周期群と比較し生児獲得率が低下しました[aRR 0.77(0.69-0.86)]。

≪私見≫

この報告では修正排卵周期はhCGトリガー後4日後から経腟プロゲステロン(ゲル90mg/day もしくはエンドメトリン200mg/day)、ホルモン補充周期はプロゲステロン筋注単独群は50mg/日、.プロゲステロン経膣投与単独群はゲル180mg/day もしくはエンドメトリン400mg/day、プロゲステロン経膣投与+筋注併用群は経腟投与に加えてプロゲステロン筋注50mgを3日に一度投薬しています。
プロゲステロン腟剤の投与方法が国内外でやや違いますので成績に影響を与えている可能性は否定できません。以前に取り上げた、下記ブログもご参考になさってください。

文責:川井清考(院長)

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