卵子と精子の出会い(異常受精その②)
異常受精が発生するプロセスの2パターン目を解説したいと思います。
まずは見た目の変化、二段階(受精前→異常受精)の解説から始めます。
受精前(1/2)では時計方向12時00分のところに1個だけ丸いポチがあります。
異常受精(2/2)では、卵子の中に袋が3個出現します。
次にイラストを使って卵子の中で起きている見た目には表れない中身の変化を解説します。
1/5:卵子は受精前の状態です(写真版1/2に相当)。この時、時計方向12時00分のところに1個だけある丸いポチの中には女性の遺伝情報が2個(♀♀)、卵子本体の中にも2個(♀♀)ある状態です。一方、卵子に向かってきている精子の頭の中には男性の遺伝情報が1個(♂)入っています。
2/5:精子が卵子の中に入ります。
2-3/5:精子の侵入を合図に、通常は卵子の中にある2個の女性遺伝情報のうち1個は外に放り出されるのですが、放り出されず2個共中に残って2個の女性遺伝情報(♀♀)が袋の姿に形を変えて出現します。
4-5/5:次いで卵子の中に入った1個の精子の頭の中にある男性遺伝情報(♂)が袋の形に姿を変えて出現して、2個の女性遺伝情報の入った袋にピッタリと寄り添って結果的に3個の袋が見える状態になります(♀♀♂)(写真版2/2に相当)。
今回解説した異常受精の発生過程は特に顕微授精(卵子の中に1個の精子を直接入れて受精させる受精方法)に多く見られます。
以上、3回に分けて正常受精、異常受精(卵子の中に遺伝情報の袋が3個見える)の出方を2パターン解説しました。
卵子の中に遺伝情報の袋が3個見える異常受精は大まかに下記の2パターンに分かれます。
上段の3個の遺伝情報の袋の内訳は♀1個+♂2個、逆に、
下段の3個の遺伝情報の袋の内訳は♀2個+♂1個、ということになります。
異常受精となった場合(卵子の中に3個の袋が見える)、卵子の外に出ているポチの数を数えれば卵子の中に見える♀と♂の個数が特定できます。卵子の外にあるポチが2個(上段)なら「♀♂♂」、ポチが1個(下段)なら「♀♀♂」の組合せになります。
こちらで解説した異常受精胚(3PN:卵子の中に袋が3つ見える)の取り扱いについては過去のブログで紹介していますので、こちらも併せて読んで頂ければと思います。
ブログ記事:異常受精胚(3PN)の取り扱い
https://medical.kameda.com/ivf/blog/post_493.html
文責:平岡謙一郎(培養室長)
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