新型コロナウイルスワクチン接種は胚移植成績を悪化させない

2021年アメリカ生殖医学会で報告された「新型コロナウイルスワクチン接種は胚移植成績を悪化させない」という演題をご紹介します。
新型コロナウイルスワクチン接種に関する報告は、患者様の不安を取り除く上で一つでも多い方が良いと思っています。皆様の治療不安を取り除くきっかけになれば幸いです。

≪論文紹介≫

Devora Aharon, et al. DOI: 10.1016/j.fertnstert.2021.07.215

単一施設で着床前診断での正常核型胚の凍結融解胚移植を実施した患者を対象としています。ファイザー社またはモデルナ社のmRNA 2回の新型コロナウイルスワクチンを胚移植の2週間以上前に接種した患者と、非接種の患者を比較しました。
ワクチン接種後2週間以内の患者は除外しています。評価項目は着床率(HCG >2.5IU/L)、臨床的妊娠率、継続的妊娠率、および流産率としました。
結果:
2021年2月-4月にワクチン接種群65名(28名:ファイザー社、37名:モデルナ社)とワクチン非接種群328人で比較しました。移植時女性年齢、採卵時女性年齢、BMI、AMH、月経中の胞状卵胞数、子宮内膜厚などの患者背景は差がありませんでした。
ワクチン接種者と非接種者の着床率(75.6% vs. 73.0%、p=0.72)および臨床的妊娠率(63.4% vs. 56.9%、p=0.43)、流産率(11.8%vs. 23.2%、p=0.13)、継続妊娠率(66.7% vs.56.1%、p=0.18)については差がありませんでした。移植時・採卵時女性年齢、BMI、AMH、子宮内膜厚で調整後ロジスティック回帰分析を行ったところ、ワクチン接種と胚移植の生殖医療成績には関連性は認められませんでした(着床:aOR 1.15、95%CI 0.49~2.75、p=0. 75;臨床的妊娠:aOR 1.42、95%CI 0.65-3.10、p=0.38;継続妊娠:aOR 1.67、95%CI 0.77-3.61、p=0.19;流産:aOR 0.39、95%CI 0.11-1.37、p=0.14)
結論:
新型コロナウイルスワクチン接種は胚移植成績を悪化させません。

≪私見≫

ソーシャルメディアで一時期、不妊女性がワクチン接種を躊躇するような情報が流れました。その後、数多くのワクチン接種が不妊治療患者に負の影響がないことを証明する報告がでてきています。参考になさっていただけると幸いです。

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文責:川井清考(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

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