子宮奇形に対する亀田IVFクリニック幕張の評価方法

先日のブログで反復流産(不育症)の子宮奇形との関連をご紹介いたしましたが、国内の産婦人科診療ガイドライン2020にも「CQ316 先天性の子宮形態異常の診断は?」という項目がございます。私たちは診療にあたり、問診などを含めて遵守するように心がけています。

  1. 随伴する以下の症状につき詳細な問診を行う。(推奨度A)
    ①無月経、②月経困難症や月経後の腹痛、③月経後の出血、④流早産の既往や不妊、⑤骨盤内腫瘤や子宮内膜症、⑥尿路、骨格、聴覚系の合併奇形
  2. 以下の検査を適宜行い、その所見から総合的に判断する。(推奨度B)
    ①膣鏡診・内診、②経腹および経膣超音波検査、③子宮卵管造影、④骨盤MRI検査、⑤子宮鏡
  3. 不妊症・不育症を伴う場合にはまず不妊症・不育症の一般的な検査を行う。(推奨度B)

当院ではESHRE/ESGE分類で初診から早い段階で評価しております。

当院ではMRIや子宮卵管造影も同施設内での検査が可能となっていますが、最近では3D超音波検査の解像度がよくなっていますので、まずは3D超音波検査での評価を行います。

子宮奇形は臨床の現場において、子宮腔内癒着との鑑別が難しい症例であったり、不妊・不育症原因と考えるかどうか悩ましい症例が散見されますので総合的に不妊・不育検査を行い複数医師で治療方針を決定することを心がけています。

妊娠予後については様々な見解がありますが、生殖医療の必修知識2020では「中隔子宮は妊娠率を低下させ、初期流産率と早産率を上昇させる。双角子宮、重複子宮、単角子宮は妊娠率を低下させないが、早産率は上昇させる。双角子宮は初期および中期流産率を、単角子宮は初期流産率を上昇させる。弓状子宮は中期流産と関係している。これら全ての子宮形態異常は、分娩時の胎位異常と関係している。」と報告しています。
今後着床前診断の正常胚を移植した場合の成績がでてくるはずですのでアップデートを楽しみにしたいと思っています。

文責:川井清考(院長)

お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。

亀田IVFクリニック幕張