卵子活性化のメタアナリシス(J Assist Reprod Genet. 2024)

卵子活性化については国内報告、培養士目線過去にもブログで取り上げています。
メタアナリシスが報告されましたのでご紹介いたします。
低受精率カップルにCaイオノフォアは有効?(Front Endocrinol (Lausanne). 2023)
卵子活性化処理

≪ポイント≫

メタアナリシスよりカルシウムイオノフォアを用いた卵子活性化は、未受精・低受精患者様には提供すべきメリットが大きそうです。

≪論文紹介≫

Jingqi Zhang, et al. J Assist Reprod Genet. 2024 Nov 19. doi: 10.1007/s10815-024-03319-y.

人工卵子活性化(AOA)法としてのカルシウムイオノフォアの有効性と安全性を、ICSIを実施した患者のさまざまなグループにおける妊娠転帰について評価し、AOAの適応に関するコンセンサスを確立するための潜在的証拠を提供するためにおこなったシステマティックレビュー・メタアナリシスです。2014年1月から2024年6月までに発表された研究を検索の対象としMedline, Embase, Cochrane Library, Google Scholarの各データベースで系統的包括的検索を行いました。
結果:
12件の研究を取り上げました。AOA-ICSIは、受精率(OR 1.99、95%CI 1.16-3.41)および生児出生率(OR 4.58、95%CI 1.52-13.80)の増加と関連していました。
分割率(OR 1.23、95%CI 0.70-2.15)、胚盤胞率(OR 2.08、95%CI 0.98-4.39)、良好胚発生率(OR 1.21、95%CI 0.91-1.61)、着床率(OR 2.51、95%CI 0.91-6.88)、生化学的妊娠率(OR 4.38、95%CI 1.97-9.75)、臨床的妊娠率(OR 2.94、95%CI 1.38-6.23)、流産率(OR 0.43、95%CI 0.08-2.43)もAOA-ICSIに優越性または同等性が認められました。サブグループ解析では、AOA-ICSIは過去未受精または低受精を示す患者に対してより有意な効果を示しました。しかし、過去未受精患者では全ての転機が統計的には改善を認めませんでした。

≪私見≫

やはり、最後に気になるのは安全性かと思います。いまのところは、出生転機までは卵子活性化の安全性は担保されていそうです。未受精・低受精患者様には提供すべき方法なのかと感じています。

  • 変性率、流産、早産、致死的先天異常の発生率に差がないという報告
    Akashi K, et al. Front Endocrinol (Lausanne). 2023;14:1131808.
  • 分娩週数や出生体重などに差がないという報告
    Zhang J, et al. Front Endocrinol (Lausanne). 2022;13: 979248.
  • 先天異常はないという報告
    Li J, et al. Reprod Biomed Online. 2019;39:199–204.
    Lam KKW, et al. J Obstet Gynaecol. 2022;42:648–53.

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文責:川井清考(院長)

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