両親年齢と児の発達(Res Dev Disabil. 2024)
高齢妊娠の周産期予後(論文紹介:国内データ)については以前より話題になっていますが、生まれた児の発達についてエコチル調査からの報告が出てきましたのでご紹介いたします。
≪ポイント≫
父親および母親の高年齢は、子どもの発達遅延と関連していました。高齢での出産のリスクを認識することは極めて重要です。
≪論文紹介≫
Tomofumi Fukuda, et al. Res Dev Disabil. 2024 Jul:150:104741. doi: 10.1016/j.ridd.2024.104741.
出産時の両親の年齢が子どもの36か月時の発達に与える影響をJapanese translation of Ages and StagesQuestionnaires, Third Edition (J-ASQ3)を用い調査しました。
エコチル研究から抽出された親子72,606組を対象とし、親の年齢は5つのグループに分類しました。「年齢と段階質問票第3版(J-ASQ-3)」の5つの領域を使用し、36ヶ月時点でのスコアがカットオフ値を下回った場合、各領域で発達遅延と定義しました。
共変量は父と母の最終教育歴、喫煙状況、年収、子どもの性、母乳授乳期間とし、欠損値は多重代入法で代入後ロジスティック回帰分析を行いました。媒介分析を用いて父母の年齢と子どもの発達及び共変量の関係を分析しました。
結果:
両親年齢に関する発達遅延スコアのオッズ比は、J-ASQ-3の5つの領域すべてと有意に関連していました。
≪私見≫
母親年齢、父親年齢も相関していることから多重共線性についても検討されたようですが、明らかな多重共線性はなかったとされています。高齢出産となると周産期リスクの上昇だけではなく、児予後も意識しないといけないのかもしれません。「年齢と段階質問票第3版(J-ASQ-3)」の5つの領域はcommunication、gross motor、fine motor、problem solving、personal-socialを評価しています。
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文責:川井清考(院長)
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