動画で見る顕微授精の流れ④

今回は新しい試みとして動画で一つの技術の一連の流れを動画で紹介しています。

今回紹介したい技術は卵子の中に精子を一つ入れる受精を促す顕微授精です。
顕微授精の一連の流れは以下の通りです。

① 卵子を探して培養液で洗浄
② 卵子の回りを取り囲んでいる卵丘細胞を取り外して成熟判定
③ 精子の探索と不動化
④ 卵子の紡錘糸観察
⑤ 卵子への精子注入
⑥ 受精確認

今回は、
④ 卵子の紡錘糸観察
を動画で説明します。卵子の紡錘糸は言い換えると、卵子の中にある女性の遺伝情報(DNA)です。この女性のDNA、通常の観察では見えませんが、偏光観察と呼ばれる方法を使うと見えるようになります。この偏光観察と呼ばれる方法を使って卵子の中にある女性のDNAが見える状態なのか、見えない状態なのかを調べるのが「卵子の紡錘糸観察」です。この見える/見えないが、顕微授精の成績に及ぼす影響等の詳細に御興味のある方は過去の記事「卵子の顕微授精時の成熟判定②」をご覧ください。

動画は全部で27秒です。
00-10秒:通常の観察
10-23秒:偏光観察
23-27秒:通常の観察
通常の観察では卵子がハッキリと見えますが、偏光観察では背景が青白くなって卵子は見えづらくなります。逆に女性のDNAは通常の観察では見えませんが、偏光観察をしているときは卵子の時計方向4時方向にあるときは黒く、時計方向2時方向にあるときは白く見えます。動画では女性DNAを4時方向⇔2時方向の位置に交互に来るよう卵子を上下にコロコロ回しています。

今回は「④ 卵子の紡錘糸観察」を紹介させて頂きました。
次回は「⑤ 卵子への精子注入」を紹介致します。

文責:平岡謙一郎(培養室長)

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亀田IVFクリニック幕張