トリガー時E2値別のhCGトリガー調整の有用性(PLoS One. 2017)

hCG5,000単位、10,000単位、rhCG250µgと注射製剤の規格のままトリガーすることが多いですが、OHSSリスクを加味すると、量を減らして投与してもいいかな?と思う時が時々あります。トリガー時E2値別のhCGトリガー調整の有用性を示した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

トリガー時のエストラジオール値に応じてhCGトリガー量を調整するプロトコルはOHSSの発生率が低く、体外受精成績低下とも関連しないため有効である可能性が高いです。
 E2<1500pg/mL→hCG 10,000IU
 E2 1501~2500pg/mL→hCG 5000IU
 E2 2501~3000pg/mL→hCG 4,000IU
 E2>3000pg/mL→hCG 3300IU or dual trigger(GnRHa + hCG 1500IU)
BMIによる補正は必要そうです。

≪論文報告≫

Vinay Gunnala, et al. PLoS One. 2017 Apr 25;12(4):e0176019. doi: 10.1371/journal.pone.0176019.

2004年9月から2011年12月に体外受精新鮮胚移植10,427周期を検討した症例を対象に生殖医療施設で行われたレトロスペクティブコホート研究です。
トリガー時のE2(エストラジオール)値に応じて投与量を調節するスライディングスケールhCGプロトコルを用いています。E2<1500pg/mL→hCG 10,000IU、E2 1501〜2500pg/mL→hCG 5000IU、E2 2501〜3000pg/mL→hCG 4,000IU、E2>3000pg/mL→hCG 3300IUもしくはdual trigger(GnRHa 2mg + hCG 1500IU)としています。
評価項目はトリガー後の血清βhCGによる卵子の成熟度とし、受精率・臨床妊娠率・生児出生率・OHSS率をhCGトリガー用量別に検討しています。
結果:
トリガー後の血清βhCG 20-30、30-40、40-50 mIU/mLは、βhCG >50と比較して卵子成熟度の低下と関連していました(67.8% vs. 71.4% vs. 73.3% vs. 78.9%、P<0.05)。患者年齢を調整した場合、hCGまたはdual triggerの投与量の違いによる採卵あたりの体外受精成績に差は認められませんでした。中等度から重度のOHSSの発生率は0.13%(n=14)、重度のOHSSは0.03%(n=4)でした。

≪私見≫

hCG投与量は成熟卵子数、OHSS発症リスクの観点からBMIなどを踏まえて微調整するのがポイントになってくると思います。
Dual triggerのように補完させ合いリスクを軽減することが大事ですが、「大は小を兼ねる」という考えは徐々に変えていなかえればいけないと思いますし、個別化医療をもっともっと追求していく時代なんだと感じています。

文責:川井清考(院長)

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