我が国の統計からの興味深い情報のご紹介~男性は何歳まで子供を作ることができるのか~

Q.男性は何歳まで父親になることができるのでしょうか?
A.日本人の統計では、75歳以上で父親になっている方もいます。

女性は閉経とともに生殖機能を消失していきます。男性では通常このような急激な変化はなく、何歳になっても子供を作ることは可能ではないかと言われています。
そうはいっても加齢とともに男性も生殖機能が低下します。また、様々な併存疾患(高血圧、糖尿病、がんなど)を抱えるようになり、性ホルモンの変化、男性機能(勃起や射精)の低下、精子のDNA損傷やメチル化の異常も起こります。この結果、妊娠までの期間が長くなったり、子供ができにくくなるとともに、出生児の健康状態に影響を与えることも指摘されており、より若いうちに子供を作るに越したことはありません。
今回は、男性が何歳まで父親になることができるのかについて、実際の我が国の統計を見る機会がありましたのでご紹介したいと思います。

札幌医科大学の熊本先生の報告によると(Geriat. Med., 2005)、1987-1991年の5年間の我が国の出生児は6,286,377名で、その父親は60歳代が505名(0.008%)、70歳以上が24名(0.0004%)、60歳以上の合計が529名(0.008%)でした。当時の日本では1年間の出生数がおよそ126万人で、60歳代で父親になった方がおよそ100名、70歳以上の父親がおよそ5名だったことになります。

一方2021年の最新の統計(政府統計の総合窓口https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003411634、図)によると、1年間の出生数は793,020名、その父親は60歳代が395名(0.05%)、70歳以上が41名(0.005%)、60歳以上の合計が436名(0.055%)でした。統計の最高齢は"75歳以上"で5名となっていて、それ以上は分かりません。

比較すると(表)、出生数は30年前の比べると大幅に減っていて、60歳以上の父親の実数は4.1倍に増加し、割合も増加し6.5倍になっています。60歳代の父親の割合は、6.2倍、70歳代の父親の割合は13.5倍で、とても大きな変化です。

このような現象が起きているのは晩婚化によるもの、公衆衛生の向上により健康状態がよい高齢男性が増えた可能性、生殖医療技術の発展や普及によるものなど様々な原因がある一方で、精子数は70歳代でもある程度保たれていること(熊本悦明、Geriat. Med., 2005)が理由として考えられます。最近のニュースでは、海外の著名な82歳の俳優のお相手が妊娠したという記事もありました。ニュースになるくらいですのでめずらしいのだと思います。

結論として、75歳以上でも父親になっている日本人は毎年数名存在している、ということになります。
そうはいっても高齢ほど子供を作りにくくなることは確かですので、安心はできませんね。

表)出生時に60歳以上の父親の人数と割合、1987-1991年と2021年の比較

出生数 60歳代の父親 70歳以上の父親 60歳以上の父親
1987-1991の
1年あたりの平均
1,257,275.4 101 4.8 105.8
割合(%) 0.0080 0.0004 0.0084
 
2021年 793,020 395 41 436
1987-1991との比較(倍) 3.9 8.5 4.1
割合(%) 0.0498 0.0052 0.0550
1987-1991との比較(倍) 6.2 13.5 6.5

図)

文責:小宮顕(泌尿器科部長)

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