同一家系での非閉塞性無精子症兄弟におけるTESE後出産に至った報告
同一家系内で非閉塞性無精子症(non-obstructive azoospermia, NOA)を呈し、顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)を行い、 精子を獲得した兄弟の2症例を経験したので報告させていただきました。
非閉塞性無精子症の遺伝学的原因とその頻度について、Cioppiらのreviewによると、原因不明が最も多く73%、染色体異常が15%、AZF欠失が7%、 TEX11異常が1%、そのほかの単一の遺伝子異常が4%とされています。
Cioppi, F., Rosta, V., Krausz, C. : Genetics of Azoospermia. Int. J. Mol. Sci., 22: 3265, 2021.
この後、遺伝的検査の発展や男性不妊の解明により、数は増えてくると思いますが、2023年現在、52の単一の遺伝子が非閉塞性無精子原因遺伝子として同定されています。
非閉塞性無精子症を呈し, 顕微鏡下精巣内精子採取術を行い, 生児を獲得した同一家系内の兄弟2例
寺岡香里, 大内久美, 田島麻記子, 川井清考, 平岡謙一郎, 石川智基, 小宮顕
日本受精着床学会雑誌 40(1): 90-96, 2023.
文責:川井清考(院長)
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