小児がん患者の妊孕性に対する不安(レトロスペクティブレビュー 2022)

不妊症のリスクは、AYA,CAYA世代のがんサバイバーにとって心理的苦痛、うつ病、不安と関連しているとされています。小児がんのサバイバーにおける妊孕性に関する心配に関連する因子を調査した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

性腺毒性があるがん治療既往がある若年サバイバーは妊孕性についての不安を2/3近く感じていることがわかりました。不安を感じる方は、女性、固形腫瘍の診断をされていて、性腺毒性の強いがん治療既往がある場合に多い傾向にありました。

≪論文紹介≫

Brooke Cherven, et al. J Assist Reprod Genet. 2022 Dec;39(12):2857-2864.  doi: 10.1007/s10815-022-02663-1.

がん治療から1年以上経過し、性腺毒性治療既往がある18歳-25歳の女性を対象としました。対象者にて系統だったカウンセリングによる調査を受けており、不妊に関連する心配の有無、社会的患者背景、病歴はカルテより抽出しました。多変量ロジスティック回帰を用いて、妊孕性に関連する心配に関連する要因のオッズ比および95%信頼区間を算出しました。
結果:
19.1±1.2歳の249名の若年がんサバイバーがカウンセリングを実施していました。55.8%が男性、58.2%がnon-Hispanic White、27.3%が性腺毒性高リスクの治療実施後でした。妊孕性に関連した心配66.3%の方が感じていました。多変量解析で心配に関連する因子として、女性(OR 2.64、95%CI 1.44-4.96、p =0.002)、固形腫瘍(OR 2.31、95%CI 1.15-4.71、p =0.019)、性腺毒性中・高リスクの治療実施後不妊症の中・高リスク(OR 2.94、95%CI 1.23-7.64、p =0.02、OR 3.25、95%CI 1.55-7.17、p =0.002)、妊孕性についてのカウンセリングを2回以上行った群(OR 2.71, 95%CI 1.46-5.20, p =0.002)でした。
結論:
新成人がんサバイバーの3分の2が将来の不妊についての心配を表明しており、これは、様々なQOLの悪い結果と関連しています。不妊を心配する生存者は、心理的介入から利益を得ることができるかもしれません。

≪私見≫

この調査は小児がん(診断時平均年齢9.6歳)の貴重な報告です。がん種は白血病 36.5%、リンパ腫 26.1%、固形腫瘍 37.3%でした。小児期には妊孕性については本人たちに言っても診断時はイメージがわかないことが多く、親が中心となって話をすすめていくことが多いです。そこから子供をもつことを意識する成人年齢になったときにしっかりフォローしていく体制の必要性を感じます。

文責:川井清考(院長)

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