レトロゾール排卵周期凍結胚移植の低E2濃度は悪影響?(レトロスペクティブコホート 2021)

レトロゾール排卵周期凍結胚移植を行うときにエストロゲンが下がりすぎて不安になることがあります。このことが妊娠後経過に影響を及ぼすことはあるのでしょうか。ご紹介する報告はレトロゾール5mg/日 5日間内服し、排卵後2日目よりプロゲステロン腟剤200mg/日のみで黄体補充した生殖医療成績を比較検討しています。

≪ポイント≫

レトロゾール排卵周期凍結胚移植の低E2濃度は、流産率の上昇および生児獲得率の低下と関連している可能性がありますが、まだまだ小規模な研究しか存在せず今後の報告を注視していく必要があります。

Wendy Y Zhang, et al.  F S Rep. 2021 May 27;2(3):320-326.  doi: 10.1016/j.xfre.2021.05.007. 

2017年1月から2020年4月にレトロゾール排卵周期凍結胚移植を施行した女性(n=217)を対象にトリガー当日の血清E2値が10パーセンタイル値未満(E2<91.16pg/mL、n=22)を「低E2群」と定義し、血清E2値が10パーセンタイル値以上(E2≧91.16pg/mL、n=195)を「正常E2群」と生殖医療成績を比較したレトロスペクティブコホートです。評価項目は臨床妊娠率、流産率、生児獲得率を含む周産期結果(分娩週数、出生時体重、アプガースコア、胎児奇形率など)としました。
結果:
エストラジオール値は、「低E2」群66.8±14.8pg/mL、「正常E2」群366.3±322.1pg/mLでした。トリガー日子宮内膜厚や妊娠初期のプロゲステロン値などの患者背景に差はありませんでした。「低E2群」では流産率が高く(36.4% vs. 8.8%, aOR 8.06)、生児獲得率が低くなりました(31.8% vs. 57.9%, aOR 0.28)。分娩週数、出生時体重、アプガースコア、胎児奇形率には差がありませんでした。

≪私見≫

この報告では10パーセントタイルだけではなく、25パーセントタイルおよび50パーセントタイルのカットオフを用いた二次解析も行っています。

  aOR 95% CI P 値
10パーセントタイル
臨床妊娠率 0.52 (0.18, 1.51) 0.23
流産率 8.06 (1.36, 47.61) 0.031
生児獲得率 0.28 (0.10, 0.81) 0.019
25パーセントタイル
臨床妊娠率 0.63 (0.30, 1.33) 0.23
流産率 2.69 (0.47, 15.46) 0.27
生児獲得率 0.53 (0.26, 0.98) 0.04
50パーセントタイル
臨床妊娠率 0.49 (0.25, 0.93) 0.029
流産率 1.42 (0.25, 8.03) 0.70
生児獲得率 0.48 (0.25, 0.91) 0.026

文責:川井清考(院長)

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