若い女性の月経周期/PMS/PCOSの特徴は(論文紹介)

私の月経周期や月経随伴症状は普通なのかどうか?どのような特徴があるのか?は、皆さん興味がある内容だと思います。ただ、人種のよる違いや時代背景などから、私たちが提供するデータとしてどうなんだろう?と感じるデータは少なくありません。
韓国の一大学の学部生・大学院生(平均年齢:21.96 ± 2.51歳)で、ピルなどホルモン剤を使用していない女性を対象とした月経周期/PMS/PCOS/生活習慣を調査した報告をご紹介いたします。

≪ポイント≫

22歳前後の女性では、PMS/ PCOSの推定有病率は25.5%/ 5.2%でした。栄養摂取量(タンパク質、ナイアシン、ビタミンB6、C、K、葉酸、リン酸、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、セレン)が月経不順女性で少ない傾向がありました。月経不順女性では、総合的に栄養摂取が少ない方が多く、正常体重から外れる女性が多いようです。やはり、健康的な生活様式を心がけることが大事だと感じます。

≪論文紹介≫

Young-Joo Park, et al. Healthcare (Basel). 2021 Jan 7;9(1):56.  doi: 10.3390/healthcare9010056.

第1期::462名女性、健康状態および健康関連に関する質問票に回答。
第2期:第1期で月経不順だった女性88名を対象に、血液検査と体組成の測定を実施。初潮は月経不順群でやや遅かった。規則正しい月経周期の女性は、過去1年間平均11.7回、93.0%が21〜35日月経周期、95.2%が2〜7日月経期間でした。月経不順群では、低体重や肥満の割合が高く、体重や食生活の変化が大きい傾向がありました。PMS/ PCOSの推定有病率は25.5%/ 5.2%でした。
今回の調査では、PCOS群はインスリン抵抗性が高い症例が多くなくアンドロゲン高値症例が多い傾向にありました。PCOS群(24名)と非PCOS群(64名)での比較ですが、BMIでは21.9±4.3/20.4±2.1やBody fat mass/ Body fat ratio/ Waist hip ratioと差がないですが、Fat-free mass/ Muscle/  Body fluidがPCOS群で高い値を示しました(InBody測定値)。

≪私見≫

国内の、2011年に2つのオンライン調査から得られた平均年齢33.6歳の19,254人の女性データでは、74%の女性が月経随伴症状に悩まされており、50%の女性が月経困難症と、19%の女性が月経過多を訴えていました。月経随伴症状の重症度と過多月経は婦人科受診回数の増加・仕事の生産性の低下と関連するとしています(Erika Tanaka, et al.  J Med Econ. 2013 Nov;16(11):1255-66.  doi: 10.3111/13696998.2013.830974)。
最近はピルなどを用いて月経をコントロールすることが増えてきているので、月経随伴症状で苦しむ人は2011年時点より少しずつ減ってきているとは思いますが、妊活時にはピルなどは服用を中断するため月経に随伴する悩みを治療と共に共有することが必要だと思います。また、不妊治療が終わった後に婦人科との関わり方のアドバイスをすることも重要な役割だと感じています。

文責:川井清考(院長)

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