皮下脂肪厚増加でPCOS(HOMAR高値)が判断できる?(論文紹介)
月経不順のPCOS女性の診察を行った時、インスリン抵抗性が高い女性かどうかを非侵襲的に判断する方法がないかどうか判断できれば有用だと日々感じています。インスリン抵抗性はHOMAR指数を用いて不妊治療分野では測定することが一般的ですが、空腹時で来院を指示しなければいけなかったりするため非侵襲的なマーカーな予測因子はないでしょうか。
不妊外来で測定することは稀ですが、皮下脂肪厚がインスリン抵抗性と関連するという報告があります。
≪ポイント≫
皮下脂肪厚測定や体組成計からインスリン抵抗性高値症例を予測することが可能そうです。
≪論文紹介≫
Aydogdu, et al. Gynecol. Endocrinol. 2013, 29, 152–155.
同年代のBMIが似通ったPCOS女性52名と健康な対照者53名で比較検討した報告です。上腕二頭筋、上腕三頭筋、肩甲下、腸骨上部の皮下脂肪厚、上腕周囲径、体組成計、HOMAR、血中アディポネクチンを測定しました。
PCOS女性では、すべての部位での皮下脂肪厚の増加、上腕周囲径の増加、全身および体幹fat free mass量の増加、HOMAR高値、血中アディポネクチン低値を認めました。皮下脂肪厚はHOMARと正の相関、血中アディポネクチン値と負の相関を示しました。
回帰分析により、HOMAR高値の予測因子として上腕三頭筋および肩甲骨上部の皮下脂肪厚、体幹脂肪量(trunk fat mass)、体幹脂肪率(trunk fat ratio)、fat free量、体幹fat free量が関連することがわかりました。
≪私見≫
Cosar, Eらも上腕三頭筋および肩甲骨下領域の皮下脂肪厚がPCOS女性で高いと同様の報告をしています(Gynecol. Endocrinol. 2008, 24, 428–432)。当院では皮下脂肪厚は測定していませんが、体組成計は設置しておりますので有効活用していきたいと思います。
文責:川井清考(院長)
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