AMHとAFCの相関について(論文紹介)
AMHとAFCは共に卵巣予備能を示す有効なマーカーです。年齢とともに減少することがわかっています。AMHとAFCにはどのような特徴があるのでしょうか。示した論文をご紹介いたします。
≪論文紹介≫
Philippe Arvis, et al.J Assist Reprod Genet. 2022. DOI: 10.1007/s10815-022-02449-5
2005年から2016年までの間に12 生殖医療センターにおいて、15,219 名25,854 回の 体外受精周期をおこなった女性(年齢 34.77 ± 4.55歳 BMI 21.92 ± 7.19)を対象としました。AMHとAFCの統計的分布はKolmogorov-Smirnov検定とShapiro goodness of fit検定を用いて検討しました。
結果:
AMHとAFCの分布は、値のばらつきが大きく、AFCの方が2倍重要で、対数分布であることが特徴でした。AMHがAFCよりも年齢による減少が早いことから、両者の相関が年齢によって変化することが示唆されました。AMHとAFCは、ボローニャ基準で示されるAMH 1.1ng/mlのカットオフとAFC 7個のカットオフの一致率は低いことがわかりました(表1)。AMHとAFCの施設間の異質性は小さいが、各施設内の患者間の異質性は非常に大きくなりました。複数回の体外受精周期を繰り返した女性に関しては、AMHの再現性はAFCよりはるかに優れていました。
AMH < 0.5 |
0.5 < AMH < 1.1 |
AMH > 1.1 |
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全体数 |
一致率 |
全体数 |
一致率 |
全体数 |
一致率 |
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AFC < 5 | 346 | 29.90% | 470 | 14.20% | 867 | 4.10% |
5 < AFC < 7 | 317 | 27.40% | 707 | 21.40% | 1421 | 6.60% |
AFC > 7 | 493 | 42.60% | 2132 | 64.40% | 19,095 | 89.30% |
≪私見≫
血清AMH値は1年に5%、AFCは1年に4.0%減少しました。
先行論文も同じような記載に留まっています。
- AMHが25歳以前にピークに達し、36歳までに半減し、40歳までにピークの1/4になる。
K, et al. Aust N Z J Obstet Gynaecol. 2015 - 年齢とともにAMHがAFCよりもわずかに速く減少する。
- AMHは5.6%/年、AFCは4.4%/年
(30歳でAMH -0.57、AFC-1.09、40歳でAMH-1.33、AFC-3.06)
Bentzen JG, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2013 - 40歳以上ではAMHは平均5%/年の減少に対して、AFCは4.1%/年の減少
Du X, et al. Reprod Sci. 2016
これらの記載をみるとAMHが低くAFCが多めの女性で体外受精希望の場合は早めの介入が好ましいのかもしれませんね。
文責:川井清考(院長)
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