卵子数が少ない年齢が高い女性へのPPOSは?(論文紹介)

PPOS(Progestin-primed ovarian stimulation)を、卵巣機能が低下している高齢女性(40歳以上)に用いた場合はどうなんでしょうか。

≪論文紹介≫

Qian Peng, et al. Reprod Biol Endocrinol. 2019.DOI: 10.1186/s12958-019-0518-3

女性年齢が40歳以上(平均43歳 回収卵子数3個前後)の体外受精患者を対象としました。CC-HMG群、PPOS群の胚発生および臨床成績を比較しました。評価項目は採卵後3日目の良好胚割合、臨床妊娠率としました。
結果:
CC-HMG群(122サイクル)とPPOS群(47サイクル)で同様であった。採卵後の成熟卵子数、受精率、分割率には有意な差は認めませんでした。最高品質の胚の割合がPPOS群で高く(50.08% vs. 33.29%、p=0.015)、有効胚の割合も増加傾向にありました(73.55% vs. 61.16%)。刺激期間が同程度であったにもかかわらず、PPOS群でより多くのゴナドトロピンが必要でした(2061.17±1254.63単位 vs. 1518.14±547.25単位、p < 0.05)。凍結融解胚移植での臨床妊娠率は、CC-HMG群(12.5%)とPPOS群(16.7%)で有意な差は認めませんでした。
結論:
PPOS群は40歳以上女性の卵巣刺激法として問題ないことがわかりました。

premature LH surge はトリガー日にLH level ≥ 10 IU/L でありprogesterone level ≥ 3.18 nmol/L である症例と定義されています(Lambalk CB, et al. Hum Reprod. 2006)。

≪私見≫

高齢でも胚質改善目的でPPOSは有用かもと思える報告でした。
個人的にはPPOS 47症例中1例のpremature LH サージ症例、そしてキャンセルとなった7症例がどのような症例だったかが知りたかったのですが、記載はなかったです。キャンセル症例はCC-HMG症例でも25.4%。多分、思ったように発育卵胞数が得られたかったのではないでしょうか。真実は不明です。

刺激方法は月経周期3日目からCC 100mg/日+HMG 150-225IU/日を投与したCC-HMG群、月経周期3日目からデュファストン®️ 20mg/日+HMG 150-225IU/日を投与したPPOS群での比較です。CC-HMG群は国内で行われているようなCC+隔日HMGではないので注意をしてください。

文責:川井清考(院長)

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亀田IVFクリニック幕張