着床前染色体異数性検査(Preimplantation Genetic Testing for aneuploidy; PGT-A)について(その①)
今回は着床前染色体異数性検査(Preimplantation Genetic Testing for aneuploidy; PGT-A)について今日から3回に分けてお話します。
PGT-Aとは体外受精により得られた受精卵の組織の一部を採取して、受精卵の染色体の数を調べる検査です。
ヒトの染色体数は全部で46本あります。46本の内訳は常染色体と呼ばれる22対44本、性染色体と呼ばれる1対2本の合計46本となっています。
常染色体の1番から22番まで、それぞれ2本ずつありますが、仮にどこかの番号の染色体の数が1本しかなかったり、逆に、3本ある場合、受精卵が順調に育たなかったり、妊娠しても流産や死産となってしまいます。
したがって、受精卵をお腹に戻す前(着床前)に受精卵の染色体の数を調べて(染色体異数性)、染色体数が正常な受精卵をお腹に戻すことで、染色体数の異常が原因となる流産・死産を防ぎ、また、妊娠率の向上、妊娠までの時間の短縮が期待される検査、それがPGT-Aです。
PGT-Aを行うためには受精卵の細胞の一部を採取する必要があります。採取する受精卵の時期ですが、最近は、細胞数が多い胚盤胞で行われることが主流となっています。胚盤胞は将来胎児となる細胞(Inner Cell Mass: ICM)と胎盤となる細胞(Trophectoderm: TE)から構成されています。
PGT-Aでは胚盤胞の将来胎盤となるTEの細胞を採取します。
先ず胚盤胞を取り囲んでいる透明帯の一部に穴を開けます。
次いで、透明帯の穴からTE細胞を専用のピペットで引っ張り出して、
引き千切ります。
胚盤胞は凍結保存、引き千切ったTE細胞は検査に回します。
次回はPGT-Aの検査結果についてお話します。
文責:平岡謙一郎(培養室長)
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