妊娠中の吐き気・嘔吐(つわり)の一般的な対処法
妊娠をすると一定の患者様は、吐き気・嘔吐(つわり)で日常生活に支障をきたす場合があります。日本と海外では販売されている薬剤が異なったりしますので、治療ではなく、患者様が不安にならないように一般的な患者様むけのQ &Aをご準備いたしました。アメリカ産婦人科学会の下記サイトを参考にしています。
https://www.acog.org/womens-health/faqs/morning-sickness-nausea-and-vomiting-of-pregnancy
Q.妊娠中の吐き気や嘔吐は正常ですか?
妊娠中の吐き気や嘔吐は一般的な症状です。 一般的には"つわり(悪阻:おそ) "と呼ばれます。ひどい悪阻は全妊婦の3%程度と言われています。
妊娠中の吐き気や嘔吐は、通常、赤ちゃんに害を及ぼすことはありませんが、仕事や日常生活に影響を及ぼすくらい調子が崩れることがあります。
Q.妊娠中の吐き気や嘔吐はいつから始まりますか?
妊娠中の吐き気や嘔吐は、通常、妊娠9週までに始まります。ほとんどの女性は、妊娠14週目までにはよくなります。なかには数週間から数ヶ月間、吐き気が続く人もいます。
Q.妊娠中の吐き気や嘔吐があるとどうなりますか?
一部の女性では、毎日数回の吐き気を催し、1-2度、嘔吐することがあります。もっとひどい場合には、吐き気が数時間続き、嘔吐も頻繁に起こります。
Q.妊娠中の吐き気や嘔吐の治療を受けるべきですか?
妊娠中の吐き気や嘔吐が生活に影響を及ぼしますので、心配な場合は受診時にスタッフにご相談ください。
Q. 妊娠中の吐き気・嘔吐(つわり)以外の症状はありますか。
吐き気・嘔吐で水分がとれず脱水状態になると下記症状がでてきます。受診時にスタッフにお伝えください。
・妊娠前より体重減少が5%以上みられる。
・少量の濃い色の尿が出る。
・尿を出すことができない。
・水分を摂ることができない。
・立っているときに、めまいを起こす。
Q. 妊娠中の吐き気・嘔吐(つわり)のリスク因子はありますか。
・多胎妊娠
・過去の妊娠で、軽度または重度の吐き気や嘔吐を経験している。
・母親または姉妹が重度の妊娠悪阻を経験している。
・乗り物酔いや偏頭痛の既往歴がある
・女性の胎児を妊娠している
Q.妊娠中の吐き気や嘔吐は、妊婦の健康や胎児の健康にどのような影響を与える可能性がありますか?
通常、あなたの健康や胎児の健康に害を及ぼすことはありません。また、胎児の病気を意味するものでもありません。
Q. 妊娠中の吐き気や嘔吐はどのように対処すればよいですか?
食生活やライフスタイルを変えることで、気分が良くなるかもしれません。
以下のような方法があります。
・ビタミン剤の摂取
・食事の時間を調整する
・食べるものの種類を変える
Q.ビタミン剤は飲んだほうがいいですか?
研究によると、妊娠前および妊娠中にビタミン剤を摂取することで、妊娠中の重度の吐き気や嘔吐を起こすリスクを軽減することができます。(次回のブログで説明いたします。)
Q.吐き気を抑えるために何かできることはありますか?
朝、空腹のまま動き回らないようにしたり、1日5~6回 食事(ナッツ・果物・クラッカーを一口程度でもかまいません)を頻回にわけて食べることにより、胃の中が空っぽにならないようにしましょう。
Q.どのような食べ物が効果的ですか?
味が濃くない食べ物を試してみましょう。バナナ、お米、トースト、紅茶などはいかがでしょうか。目標は、あなたが食べることができ、かつ、食べ続けられる食品を見つけることです。
Q.たんぱく質は有効ですか?
毎回の食事にタンパク質を加えてみましょう。肉類以外の良質なタンパク源は以下の通りです。
・牛乳、アイスクリーム、ヨーグルトなどの乳製品
・ナッツや種子類
・プロテインパウダーやシェイクなど
Q.試す価値のある食品はありますか?
生姜は胃を落ち着かせる効果があります。試してみてはいかがでしょうか。
Q.妊娠中は、たくさんの水分を摂る必要がありますか?
妊娠中は、より多くの水分を必要とします。喉が渇いたときだけでなく、1日を通して飲むようにしましょう。妊娠中は、1日にコップ8~12杯の水を飲むことを目標にしてください。
Q.匂いによって吐き気が悪化する場合はどうしたらいいですか?
今まで気にならなかった匂いが、今では吐き気を催すことがあります。なるべく匂いが強い場所に近づかないようにしましょう。料理をするときは換気を頻回に行うことや、空気の入れ替えに意識しましょう。ゴミ箱を頻回に取り替えるなども対策の一つです。
≪私見≫
体外受精で妊娠した患者様では、薬の内服が、つわりがひどくなる時期にも続いていることが多く、どうしたらいいでしょうか?と不安の声を数多く聞きます。
胚移植後の薬は患者様の状態により内服薬を膣剤や貼付剤等の外用薬に変更できますので、我慢せずにご相談ください。
文責:川井清考(院長)
お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。